2018年度(H30年度)から 国民健康保険の広域化へ
運営主体を市町村から都道府県に
広域化のねらいは
国保税の引き上げ・引き下げ抑制のための
一般会計からの繰り入れをやめさせること
厚生労働省は、現在開かれている国会に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律案」を提出し、成立を図ろうとしています。
この法律案は、国保の財政運営の広域化が中心です。広域化とは、現在の国保は、市町村が個別に運営していますが、これを2018年度から都道府県に変えようとするものです。都道府県が国保の財政運営の中心的な役割を担うことで、事務の効率化・標準化を進め、財政基盤の安定化を図るとしています。
国保における最大の問題は、高すぎる国保税の引き下げです。一般会計から繰り入れして国保税の引き上げを抑えている市町もあります。広域化は、こうした繰り入れをやめさせる狙いがあります。
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国保税の引き上げ・滞納処分の強化が懸念
広域化が進めば、国保税はどうなるのか。全国生活と健康を守る会は、以下のような事態が進むと指摘しています。
①都道府県が市町村ごとの標準保険税を示して県内での平準化が進み、国保税を引き上げる自治体が増える。
②国保税の引き下げや引き上げを抑えるための一般会計からの繰り入れをさせない仕組みがつくられ、この点からも引き上げが促進される。
③都道府県が市町村ごとの保険税収納率を示すことで、市町村での滞納処分(差し押さえなど)の強化や滞納による保険証の取り上げ等が進む。
④子どもの医療費無料化など市町村独自で医療費助成制度を実施している自治体への国庫補助の削減が今後も温存される。などです。
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被用者保険の負担増や
入院費の食事代の負担や引き上げなども
後期高齢者支援金における健保組合など被用者保険の負担の引き上げ、「負担の公平化」を口実にした入院時の食事代負担の引き上げなどです。
合わせて、都道府県の地域医療構想などによる病院からの追い出しや介護と一体の「地域包括ケアシステム」の構築による医療給付費の大幅削減なども狙われています。
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国の財政支援の拡充で
誰もが安心できる医療制度に
国庫負担の半減が 国保税引き上げの要因
国保の被保険者は、年齢が高く医療費水準が高い、無職者や低所得者が多いのが特徴です。だからこそ、国による財政支援が重要です。しかし、国は年々国保への財政支援を削減してきました。
度重なる削減で、いまや国庫負担は、半減してしまいました。これにより、市町村では国保税が引き上げられ、「払いたくても払えない。払えば生活が圧迫される」という事態となっています。
全国で国保税が払えない滞納世帯は3,722,000千世帯で、全加入世帯の2割近くを占めています。滞納によって保険証を取り上げられた世帯は277,000世帯にのぼります。 |
広域化では解決しない
広域化が進めば、被保険者の負担は増え、結果として滞納世帯や滞納による保険証の取り上げが増え、制度として成り立たなくなることが懸念されます。広域化では何の解決にもなりません。
国保の安定化・持続可能な制度を目指すために必要なことは、広域化ではなく、半減された国庫負担金を元に戻すなど、国の財政支援を拡充することです。その上で、払える国保税に引き下げ、誰もが安心して医療にかかれる国民皆保険制度にするべきです。
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栗東民報 2015年4月5日号
日本共産党栗東市委員会発行
市委員長 國松清太郎
市会議員 伊吹みちえ
市会議員 大西時子
市会議員 太田浩美 |
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