栗東民報 2015年2月22日号


財政危機と言いながら

リチウムエナジージャパンへの
   誘致奨励金は8億9746万円も

  
  
 



市民には福祉の大幅削減と公共料金の値上げ
  企業には大盤振る舞い

13日に開催された市議会の地域活性化対策特別委員会において、市がこれまでリチウムエナジージャパン(LEJ)に交付してきた誘致奨励金は、H22~26年(5年間)の合計で約8億9746万円にのぼることがわかりました。

この間、市は「財政が危機的状況である」と説明し、H20年度から財政再建のための『新・集中改革プラン』等を実施する中で、さまざまな福祉施策を削減し、水道料金や保育料などの公共料金を引き上げてきました。
H20~25年度における市民への負担増は、合計で42億1700万円にのぼっています。かつては福祉の町と言われた栗東市の福祉水準は、きわめて低いものになっています。


税金は企業に交付するのではなく
 福祉や暮らしを守ること最優先に使うもの

企業への奨励金制度の廃止を
地方自治体の本旨は「福祉の増進」です。税金はこの本旨に添って使われるべきものです。

日本共産党議員団は、障がい者や高齢者・ひとり親家庭など社会的弱者の生活を支える福祉施策をどんどん削減しながら、力のある企業に多大な補助金を交付するという税金の使い方は、暮らしを守るべき自治体として本末転倒であると指摘し、企業への誘致奨励金制度は廃止するよう求めてきました。


市は奨励金制度を続ける意向

延長の条例改正
市は、H27年3月末で期限切れとなる新産業地区工業団地(新幹線新駅建設の跡地と呼ばれる地域)への企業誘致奨励金制度を、さらに5年延長する意向を示しました。

そのための条例改正案を3月議会に上程し、企業誘致を進めていきたいと説明しました。



リスクの高い企業だのみの市政運営

市は「これまで赤字であったLEJ誘致による税収効果が、H26年度から4700万円の黒字に転じた。今後増えていく税収効果で、福祉教育の充実を図っていきたい」と説明しました。しかし、企業の経営が、先々まで好調に進む保障はどこにもありません。

シャープ亀山工場のように、補助金を支払って誘致した企業が、自己都合により短期間で生産縮小・撤退するケースが、後を絶ちません。期待した税収や地元雇用は得られず、企業だのみの市政運営の危うさが、全国的に明らかになっています。

企業へ投資し、その見返りで福祉を充実するというリスクの高いやり方は、やめるべきです。

もっと積極的に 福祉の向上を

H24年4月から始まった『新・集中改革プラン』は、H27年3月末で終了します。市民から「後退した福祉がようやく充実の方向に向かう」との期待の声が寄せられています。

福祉の向上に、市は「H27~29年度の3年間で財政健全化の検証を行う。この間、福祉水準は現状を維持し、H29年度末に財政健全化を終える」と消極的です。市民の声に応え、もっと積極的に福祉の向上に努めるべきです。


企業誘致は積極的に推進

LEJに16億3000万円  手原産業倉庫に1億2800万円
イシダに4600万円  それ以外にも
現在予定されている企業への誘致奨励金は3件で、
①リチウムエナジージャパン(LEJ)へH22~34年度(13年間)にかけて16億3000円で、すでに8億9746万円が交付されました。

②LEJの北側に建設された手原産業倉庫へはH27~36年度(10年間)にかけて約1億2800万円を交付する予定です。

③下釣にあるイシダへは、工場の増設により4600万円の奨励金が交付されます。
市は、この3社以外にも、誘致奨励金制度を活用しながら積極的に企業誘致を進めていくとしています。




リチウムエナジージャパン誘致から4年が経過
地元雇用の現状は

205名中 地元新規はわずか5名
企業誘致で市民の関心が最も高いのが、地元雇用の創出です。1月末におけるLEJの従業員数は205名で、地元からの新規採用者はわずか5名とのことです。
手原産業倉庫は150名を雇用する予定で、正社員10名、臨時・パート140名です。しかし、正社員は大阪センターからの異動で対応、臨時・パートを地元から採用する予定となっています。

イシダにおける地元雇用については今のところ不明であると、市は説明しています。
このように奨励金を交付しても、そう簡単に正社員の地元雇用に結びつかないのが現実です。






栗東民報 2015年2月22日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 伊吹みちえ
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美