栗東民報 2015年1月11日号


終結に向かう周辺市の同和事業
 
      ~個人施策はH27年度末で全廃

栗東市だけが『継続』の意向


 同和地区限定の事業  栗東市  草津市  守山市  野洲市
 固定資産税の減免  H24年度30%減、H25年度20%減、
H26年度10%減、H27年度未定
 H24年度で廃止  H27年度で廃止 H26年度で廃止
 修就学奨励資金給付  高校・大学・各種学校対象に奨励金と入学支度金を給付  H24年度で廃止  ☓(なし) H24年度で廃止
 中小企業融資対策  融資に係る利子を補給。年間1%以内  H24年度で廃止  H23年度で廃止 H23年度で廃止
 技能取得訓練補助金交付  運転免許等の技能取得訓練受講補助金を交付4/5(一般1/2)、30万円を限度  H24年度で廃止  H23年度で廃止 H27年度で廃止
                 湖南地域の自治体における同和地区限定の個人施策

栗東市も速やかに廃止の決断を

国による同和対策特別事業は、H14年3月末その根拠法(地域改善対策特別措置法)の失効により終結しました。本来なら、この時点で同和事業はすべて廃止するべきです。しかし、その後も「差別事象がなくならない」として継続的に取り組まれてきた自治体もあります。

近年同和に限定した事業を廃止していく動きが広がっています。草津・守山・野洲市などの周辺市では、同和地区に限定した個人施策が次々と廃止され、H27年度がその最終年度になっています。しかし、栗東市における同和地区限定の個人施策は、いまだに終結されようとしていま
せん(上表参照)。

日本共産党議員団は、国の法が失効した時から同和事業は速やかに終結し、一般施策化するよう求めてきました。



福祉水準は落としても

同和事業は相変わらず充実

市は危機的財政を健全化するとして『新・集中改革プラン』を策定し、子どもや障がい者の医療費助成の削減、重度障がい者の通院補助の廃止、幼稚園・保育園・学童保育の保育料や水道料金等の公共料金の値上げ、中学校給食の廃止などを実施してきました。

その結果、栗東市の福祉水準は、県内自治体の中でもかなり低いものになっています。

こういう状況のもと、同和事業においても改革のメスが入って当然です。しかし、上表のように、周辺市で廃止されている同和地区限定の個人施策において、ほとんど改革のメスが入っていないのが実態です。本市の同和事業は、周辺市と比べれば充実しています。


同和事業は特別扱い

毎年1億6000万円の独自財源を投入
『新・集中改革プラン』による市民への負担増は、H24・25年度の2年間で20億6800万円となっています。さらにH26年度は約11億万円を削減する予算が編成されてきました。

この間、同和関連事業の一部縮減はありましたが、相変わらず毎年1億6000万円を超える独自財源が投入されています。

福祉の削減には「あらゆる分野を周辺市並みの水準にする」「すべての分野を対象に実施している」などと説明しながら、同和事業だけ“特別扱い”されています。



同和事業の継続に 市民の理解は得られない

財政がきびしく、福祉水準が著しく低くなってしまったにもかかわらず、なぜ同和事業だけ充実しているのでしょうか。

市民が継続を望む福祉施策を削減・廃止するいっぽうで、根拠法廃止から12年間が経過し、周辺市も廃止する同和事業を、市独自で継続することに、市民の理解は得られないと思われます。



甲賀市・甲賀市議会が
「部落解放の南部地域実行委員会」から退会

変わりゆく同和事業への認識
湖南地域の6市・6市議会、および商工会や同和対策促進協議会、人権擁護委員会、社協など約135の各種団体で構成され、自治体が事務局となる「部落解放・人権政策確立要求びわこ南部地域実行委員会」から、甲賀市と甲賀市議会が、昨年5月に退会されました。

こういう動きが出る背景には、同和行政に対する考え方が、時代とともに変化してきていると思われます。同和を取り巻く組織や行政のありかたを見直すべきです。



個人施策は廃止し 同和事業の一般施策化を

 日本共産党議員団は、12月議会の代表質問で、同和の個人施策は速やかに廃止し、一般施策化すること、参加者が集まらない地区別懇談会等もやめ、部落解放を特別扱いするのではなく、人権問題の一環として取り組むよう求めました。

市は、同和事業・個人施策ともに現時点では必要との認識を示し、一般施策化の具体的な目途は示されませんでした。また、南部地域実行委員会も引き続き取り組んでいくと答えました。
 




栗東民報 2015年1月11日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 伊吹みちえ
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美