栗東民報 2014年10月19日号


県内でもっとも高い栗東市の国保税

滞納による保険証の取り上げもダントツの多さ
 

 自治体名   国保
世帯数 
 滞納世帯数  資格証明書交付世帯数(保険証の取り上げ)   短期保険証交付世帯数   国保税(円)
 世帯数  率(%)  40歳までの夫婦と子ども2人の世帯で試算(介護分は含まず)  40歳以上の夫婦と子ども2人の世帯で試算(介護分を含む)
栗東市 7,452   984  13.20 224 629 460,500  530,300
 草津市 16,119  3,841  23.83 34 215 426,400  568,700
 守山市 9,388  1,175  12.52 7 556 390,300  488,900
 野洲市 6,415  1,122  17.49 102 256 427,100  511,400
 湖南市  7,227   884  12.23  37  437  394,800  489,000
                 2014.10.12付け滋賀民報から抜粋(2014.6.1現在のデーター)


*資格証明書とは
国保税を1年間滞納すれば保険証が取り上げられ、その代わりに資格証明書が交付されます。資格証明書では、医療機関の窓口でかかった医療費の全額(10割負担)を支払わなければならないため、実質的に医療機関にかかることができません。

高すぎて払いたくても払えない

国民健康保険税の引き下げを

栗東市の国保税は、所得300万円・4人家族の世帯で所得の15%を超える額で、隣の草津市とともに滋賀県内の自治体で、もっとも高い額となっています。

国保は、自営業や年金所得者、非正規労働者など社会的に所得の低い層が加入する医療保険です。「あまりにも高すぎて、払いたくても払えない」として、引き下げを求める声が多く寄せられています。

また、保険税の滞納による保険証の取り上げ世帯の多さも、栗東市がダントツです。同じ国民皆保険制度のもとでありながら、なぜ栗東市はこんなに多いのか。医療をまもる姿勢の違いとしか思えません。


医療費は16番目とかなり低いにもかかわらず

国保税は なぜこんなに高いのか

9月議会での国保税の引き下げを求める質問に、栗東市は「医療費が年々増加しているため、引き下げは困難」と答えました。ところが、栗東市の国保にかかる医療費は、県内19市町の中で16番目と低い方であるとのことです。

にもかかわらず、なぜ保険税は一番高いのかとの問いに、市は「他市と比べて、国・県からの補助金が少ない」「制度の構造上の問題で高くなっている」と答えました。

 

一般会計からの繰り入れを  やめたことも要因のひとつ

草津市の国保税も、本市と同様に県内で1位・2位を争うほど高くなっています。そういう状況のもと、草津市は毎年1億円前後を一般会計から繰り入れ、保険税の値上がりを抑制しています。

これに対し、栗東市は一般会計からの繰り入れは一切行っていません。国からの補助金が減っているのも国保税が高くなる要因のひとつですが、H20年頃まで行っていた一般会計からの繰り入れをやめたことも、大きな要因であることは確かです。

剰余金や基金の活用に 市は消極的な姿勢

国保税を1人あたり1万円引き下げるためには、約1億3000万円の財源が必要です。

栗東市は財政が厳しいと言いますが、H25年度末は一般会計で4億6600万円(剰余金)の黒字決算となっています。さらに、基金は昨年度から5億7800万円ほど積み増し、約17億円となっています。

これらを有効に使えば、国保税の1人あたり1万円の引き下げは可能です。こういう提案に、市はきわめて消極的な姿勢です。


リチウムエナジージャパンには16億円の補助金

市は、蜂屋地先に誘致したリチウムエナジージャパンに16億3000万円もの補助金を、H22~34年度にかけて交付します。

そのいっぽうで、国保税を引き下げるための1憶3000万円を支出できないという姿勢は、必死でやりくりしながら高い国保税を払う市民として、納得がいくものではありません。

税金は力のある企業のためではなく、市民の暮らし・福祉をまもること優先に使うべきです。日本共産党議員団は、市民の声に応え、もっと国保税の引き下げに努力するよう求めました。



周辺市比較でもケタ違いに多く

滞納による保険証の取り上げが224件も

栗東市における保険証の取り上げ数は224件で、草津市34件・守山市7件と比較しても、ケタ違いに多くなっています(上表参照)。同じ皆保険制度で運営されていながら、なぜ栗東市だけがこんなに多いのでしょうか。

国保に対する姿勢の違いであり、栗東市は社会保障制度としての運営が弱いと指摘せざるを得ません。国保は医療における社会保障制度です。保険証がなければ医療が受けられません。誰もが安心して受診できるよう保険証を交付するべきです。

そのためにも、生活相談や納税相談を充実していくことが求められます。これに対し、市は生活相談の総合窓口を新設していく意向を示しました。






栗東民報 2014年10月19日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美