栗東民報 2014年10月5日号


同和事業の速やかな終結を

国の根拠法は12年も前に失効

同和地区限定の個人施策

周辺市はH27年度末ですべて終結 
    ~栗東市だけ終結の目途が見受けられず

国による同和対策特別事業は、その根拠法(地域改善対策特別措置法)が2002年3月末をもって失効し、終結しました。しかし、その後も「差別事象が存在する」として継続的に取り組まれてきた市町もありますが、近年同和に限定した事業を縮小・廃止し、終結する動きが広がっています。

大津市・近江八幡市・日野町などではすでに終結、湖南地域の周辺市も終結の方向で動いています。しかし、栗東市では同和地域に限定したさまざまな事業がいまだに残っており、終結の目途が立っていません(下表参照)。

日本共産党議員団は、国の法が失効した時から同和事業は速やかに終結し、一般施策化するよう求めてきました。


 同和地区限定の事業  栗東市  草津市  守山市  野洲市
 固定資産税の減免  H24年度30%減、H25年度20%減、
H26年度10%減
 H24年度で廃止  H27年度で廃止 H26年度で廃止
 修就学奨励資金給付  高校・大学・各種学校対象に奨励金と入学支度金を給付  H24年度で廃止  ☓(なし) H24年度で廃止
 中小企業融資対策  融資に係る利子を補給。年間1%以内  H24年度で廃止  H23年度で廃止 H23年度で廃止
 技能取得訓練補助金交付  運転免許等の技能取得訓練受講補助金を交付4/5(一般1/2)、30万円を限度  H24年度で廃止  H23年度で廃止 H27年度で廃止
                 湖南地域の自治体における同和地区限定の個人施策

『新・集中改革プラン』

すべての分野で実施していると言うけれど

市は危機的財政を健全化させるとして、H24~26年度の3年間にわたる『新・集中改革プラン』を策定しました。

策定にあたり、「福祉水準を周辺市並みにする」「事業評価など全体的なバランスを考慮する」「すべての分野を対象に実施している」などと説明し、福祉医療費助成の削減、幼稚園・保育園・学童保育の保育料や水道料金等の公共料金の値上げ、中学校給食の廃止など、市民に多大な負担増を押し付けてきました。

ところが、周辺市で廃止されている同和地区限定の個人施策については、ほとんど改革のメスが入っていません。


同和事業は聖域化

周辺市では、固定資産税の減免や修就学奨励金制度などの同和事業に関わる個人施策は、H27年度末ですべて廃止されます。しかし、本市だけが廃止時期を明確に示していません(上表参照)。

福祉を削減する時は「あらゆる分野を周辺市並みの水準にする」と言いながら、同和事業だけ“特別扱い”となっています。



福祉水準が低くなっているにもかかわらず
  同和事業は他市より充実

毎年1億6000万円の独自財源を投入
新・集中改革プラン』による市民負担は、H24・25年度の2年間で20億6800万円となっています。さらにH26年度は約11億万円を削減する予算編成がなされています。

この間、同和関連事業の一部縮減はありましたが、いまだに毎年1億6000万円を超える独自財源が投入されています。本市の同和事業は、周辺市と比べれば充実していると言えます。

重度障がい者への通院助成や身体障がい者4級の福祉医療費助成の削減など、暮らしを支える福祉施策を廃止された市民にとって、とても納得できるものではありません。


個人施策は廃止し 同和事業の一般施策化を

9月議会で、日本共産党議員団は、個人施策は速やかに廃止すること、部落解放や同和に特化した地区別懇談会などはやめること、同和関連の事業は人権問題の一環として取り組むよう求めました(一般施策化)。

これに対し、市は「今年度同和事業に関する意識調査を実施している。この結果を見て、廃止も含め検討する」と答えました。しかし、太田議員の「来年度の予算に反映されたい」との質問には、「調査結果のまとめが今年度末までかかるため、来年度予算では対応できない」と答えました。

 

同和事業の継続に 市民の理解は得られない

財政がきびしく、そのために福祉水準が著しく低くなってしまった栗東市において、なぜ同和事業だけが周辺市より充実した状況が続くのか。

市民が継続を望む福祉施策を削減・廃止するいっぽうで、国が終結し、周辺市においても廃止される同和事業を市独自で継続することに、市民の理解は得られないのではないでしょうか。







栗東民報 2014年10月5日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美