栗東民報 2014年9月28日号


財政危機と言いながら
企業3社への補助金は18億400万円も!

『財プロ』『新・集中改革プラン』等による
 市民への負担増は42億1700万円

9月議会における太田議員の個人質問で、市はリチウムエナジージャパン(LEJ)と他2社に対しH22~36年度(15年間)にかけて、合計で18億400万円の誘致補助金を交付すると答えました。

この間、市は「市の財政が危機的状況である」と説明し、H20年度から『財プロ』や『新・集中改革プラン』等を実施してきました。その中で、あやゆる福祉施策を削減・廃止し、水道料金や保育料などの公共料金を引き上げてきました。

H20~25年度における市民への影響額は、累計で約42億1700万円にのぼっています。その結果、かつては福祉の町と言われた栗東市でしたが、その福祉水準は県内でも極めて低いものになっています。

企業に交付する18億400万円は、すべて市民の税金です。企業に支払うのではなく、福祉を充実し市民の暮らしを守るために使うべきです。

 


企業には次から次へと大判振る舞い

 LEJに16億3000万円
 手原産業倉庫1億2800万円
 イシダ4600万円
リチウムエナジージャパン(LEJ)への誘致補助金は16億3000円で、H22~34年度(13年間)にかけて交付されます。すでに5億8800万円が支払われており、H26年度以降に10億4000万円余が交付される予定です。

手原産業倉庫は、LEJの北側に建設され、H27年7月稼働予定となっています。H27~36年度(10年間)にかけて約1億2800万円が交付される予定です。

イシダは現在下釣にある企業で、工場の増設により、4600万円の補助金を受けると言うものです。現在800名の従業員を、将来的には1000名にする計画があるとういこと以外は、何も明らかになっていません。
    


福祉はH30年度まで現状維持

税金の使い方としては本末転倒

H20年度から始まった財政健全化のプランも、いよいよ今年度末をもって終了します。市民からは、後退した福祉がようやく充実の方向に向かうとして、期待の声が寄せられています。

しかし、市は「H27~30年度に財政健全化の検証を行う。この間、福祉水準は現状を維持し、H30年度末をもって財政健全化を終える」という意向を示しています。

障がい者や高齢者・ひとり親家庭など社会的弱者の生活を支える祉施策をどんどん削減しながら、力のある企業に次ぎから次へと多大な補助金を交付するという税金の使い方は、暮らしを守るべき自治体として本末転倒であると指摘しました。




危うい企業頼みの市政運営

地方自治体の本旨は「福祉の増進」です。税金はこの本旨に添って使われるべきものです。これに対し、市は「企業誘致による波及効果から、結果として福祉の増進を図る」と答えました。

全国的にはシャープ亀山工場のように、補助金を支払って誘致した企業が、自己都合により短期間で生産縮小・撤退するケースが、後を絶ちません。
期待した税収や地元雇用は得られず、企業頼みの地域振興の危うさが、浮き彫りになっています




企業への補助金制度の廃止を

補助金の返還規定を盛り込んだ規則があった自治体では、生産縮小・撤退した企業から補助金が返還されたケースもありますが、そう簡単に返還されていないのが現実です。ちなみに、栗東市の条例・規則に返還規定はありません。

企業へ投資し、その見返りで市民福祉を充実するというリスクの高いやり方は、やめるべきです。企業誘致の補助金制度は廃止し、税金は暮らしや福祉を充実すること最優先に使うべきです。



地元雇用の現状は

207名中 地元新規はわずか5名
企業誘致で市民の関心が最も高いのが、地元雇用の拡大です。
H22年から操業を開始したLEJの従業員数は207名で、地元からの新規採用者は5名とのことです(7月末時点)。

H27年7月稼働開始予定の手原産業倉庫は150名の雇用で、正社員は10名、臨時・パート140名の計画です。しかし、正社員は大阪センターからの異動で対応、臨時・パートを地元から採用したいとのことです。

イシダの具体的な採用予定などについては今のところ不明であると、市は説明しています。

補助金を交付しても、そう簡単に正社員の地元採用に結びつかないのが現実です。








栗東民報 2014年9月28日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美