栗東民報 2014年8月24日号


安倍政権の「健康寿命の延伸」は

公的医療・介護費の抑制と削減で

「健康長寿社会」の看板に隠された
 政府のねらいは社会保障費の削減

安倍政権は、「成長戦略」の柱に「健康寿命の延伸」を掲げ、具体化をすすめています。誰もが健康で長生きできる社会を実現するために政府が積極的な責任を果たすというなら、国民の願いと合致します。しかし、安倍政権の思惑は違います。

健康づくりをもっぱら個人の自己責任に任せて、公的な医療・介護費の抑制や削減を推し進めることが、狙いです。「健康長寿」をうたい文句に、健康を脅かす社会保障削減路線を国民に押し付けるやり方は、とても通用するものではありません。
 


健康づくりは個人の自己責任 社会保障の削減路線
「健康寿命」とは、健康上の問題がなく、日常生活を送れる期間を指します。日本では、男性70.4歳、女性73.6歳(2010年)で、平均寿命より男性は10年程度、女性も13年程度短くなっています。

今月初めの閣議に報告された厚生労働白書は、健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めるための「健康長寿社会の実現」を大々的に打ち出しました。

健康のまま人生の最後を迎えることは誰もが望むことです。しかし、厚労白書が強調しているのは、健康寿命と平均寿命の差が広がれば「医療費や介護給付費用を消費する期間が増大」し、短縮できれば社会保障費が減らせるなど、財政的負担を抑制することです。


 


要支援者の介護保険外し
      特養ホームへの入所制限

安倍政権のすすめる社会保障大改悪は、国の責務を「自助・自立の環境整備」と大変質させるものです。

先の国会で強行した『医療・介護総合法』は、介護保険における要支援者外しや特別養護老人ホーム入居制限など公的医療・介護を大幅に後退させる重大なサービス削減です。

長生きがつらくなるような削減を行いながら、どこが「健康長寿社会の実現」なのでしょうか、あまりにも無責任な姿勢ではないでしょうか。

栗東市民への影響は

要支援者のサービス利用者
 訪問介護71人・通所介護122人
来年4月から「要支援者(軽度の介護認定を受けた人)の訪問介護と通所介護を保険給付から外し、市の地域支援事業に移行するとしています(移行期間は3年)。

栗東市で、要支援のサービス利用者は241人です。この中で訪問介護は71人、通所介護は122人が利用しています(下表参照)。

要支援の方は、介護サービスを受けることで重度化を抑え、認知症の予防になっています。地域支援事業に移行されても、これまでと同様にサービスが受けられるようにすることが求められます。


   介護サービス利用者数(人)  
   うち訪問介護
 利用者数
 うち通所介護
 利用者数
 要支援1     95     30     44
 要支援2    146     41     78
 要介護
 1~5
      1,219
 合計      1,460  
 (参考)

  65歳以上の人口:11,281人  
      (高齢化率 16.9%)
      *栗東市内での介護サービス利用者数(5月末時点)


特養ホーム

入所待ちの人も大勢

市内にある特別養護老人ホーム(淡海荘・レインボーの里)はどちらも満員で、入所待ちの方も大勢おられます(下表参照)。

特養ホームへの入所は、来年4月から原則「要介護3以上」に限られます。ただし、現在入所中の方は、介護度1・2であってもそのまま入所できます。また、虐待や精神・知的障害などで、地域で生活することが困難な状況であれば例外的に入所が認められますが、要介護1・2の方(116人、下線部)は、入所待ちとしてカウントされないことになります。

改定ごとに値上がり続ける介護保険料を払いながら、受けたい介護が受けられない制度は抜本的に見直されるべきです。
 


           (人)   淡海荘  レインボーの里
 入所者数   介護度1・2  3  2
 介護度3以上  61  34
 入所待ちの
 人数 
 介護度1・2  74  42
 介護度3以上  96  71
   *特養ホームにおける入所者・入所待ちの状況(栗東市民の人数)






栗東民報 2014年8月24日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美