栗東民報 2014年8月10日号


社会保障のためと言い 消費税を増税したのに

負担増とサービス削減が目白押し

要支援者の訪問介護と通所介護を
 介護保険のサービスから締め出し

去る6月18日、自民党・公明党の賛成多数で成立した「医療・介護総合法」は、医療法・介護保険法・保険助産師看護法・歯科衛生士法など、19本もの法律改正をひとつにまとめたものです。

医療法は、都道府県の主導で病床の再編・削減を推進する仕組みをつくり、削減目標を達成できない場合は、医療機関にペナルティ―を課すことができるようになりました。

介護保険法は、要支援者(軽度の介護認定を受けた人)の訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(ディサービス)を保険給付から外し、一定所得以上の人には1割負担の利用料を2割負担に引き上げるなど、負担増とサービス給付の削減が目白押しです。
 


ホームヘルパーは介護の重度化を防ぐ重要な役割
介護認定は、要支援1・2および要介護1~5の7段階で設定されています。要支援は軽度、要介護5に近づくほど重度になります。

要支援者には骨関節疾患の患者が多いと言われています。部屋がほこりまみれになっていても掃除ができず、そういう時にホームヘルパーが家事援助をします。

数か月かけて接するなかで、利用者の生活状態を把握し、体や精神上の悪化にいち早く気づいて予防してきた事例は、数多く報告されています。ホームヘルパーは単なる家事代行ではなく、必要な援助によって、介護の重度化を防ぐ専門職です。

こうした現場からの声も聞かず、要支援者から訪問介護(ホームヘルプ)を取り上げることは、家族負担の増大や在宅生活が困難になるなどの事態を招きかねません。
 


訪問介護と通所介護は 市町の地域支援事業に

 要支援1・2の訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)は、市町村が実施する地域支援事業に移行されます。

厚生労働省は、地域支援事業になっても国が負担する財政構成は変わらないため、保険外しにはあたらないとしています。しかし、現実はまったく違います。


予算の上限を超えれば市町が負担
 サービス削減の可能性も
保険給付は要介護認定を受ければ、定められた介護サービスを受けることが保障されます。予想以上に介護認定を受ける方が増えても、国からの財源が補填されます。

そのいっぽうで、地域支援事業は予算に規模に応じて、市町の裁量で実施されるものです。国の定めた上限を超えた場合は、市町の持ち出しになるか、サービスが削減される可能性も否定できません。

国が責任を持って 財政的保障を
こうした国の動きを受け、各市町ではその移行に向け、できる限りサービス給付から外れる方がでないよう検討されています。しかし、自治体の財政力や介護資源によって違いが生じたり、利用者の自己負担を増やすということが起こりかねません。

社会保障のためと言い、政府は消費税8%に増税しました。介護サービスを受ける権利を制限されたりすることのないよう国が責任を持って、財政的保障をするべきです。



利用料2割負担の導入 軽度者は特養入所も制限

低所得者への負担増も
来年8月から一定所得がある人の利用料負担を、現行の1割から2割に引き上げられます。2割負担となる所得水準は政令で定められますが、厚労省は合計所得金額160万円、年金収入のみの場合280以上を2割負担とするとしています。

特別養護老人ホームへの入所は、来年4月から「要介護3以上」に限られます。

さらに、低所得者の負担軽減である「補足給付」も縮小するとしています。
 



社会保障に回っていない
   消費税の増税は中止を

政府は、社会保障を充実するためと言って消費税率を引き上げました。しかし、実際に行われているのは医療・介護における給付削減と国民への負担増です。消費税の増税が社会保障に回っていないことは明らかです。

さらに、消費税率10%へ引き上げようとしています。消費税は、低所得者ほど負担率が大きい逆進性を持つものです。さらなる引き上げは、やめるべきです。







栗東民報 2014年8月10日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美