栗東民報 2014年4月20日号


返済期日が過ぎても回収できない
  たばこ業者への貸付金

返済を求め㈱TSRを提訴したけれど

裁判の準備書面で「返さなくてもよい約束だった」

栗東市は、たばこ業者4社(㈱TSR・㈱CSR・キシダサービス㈱・㈱クリアゲート)に対し、合計で19億円を10年間貸し付けました。その内の3社における返済期日が過ぎました。期日一括返済の契約でありながら、どこからも契約どおり返済されていません。

キシダサービス㈱は、調停によって10年間(H23~32年度)かけて返済されることが決まりました。その内容に従い、返済されています。

㈱TSRと㈱CSRからは、返済される動きがほとんど見受けられません。市は返済を求めて、H23年3月25日、㈱TSRを提訴しました。その結果、H24年3月29日、㈱TSRは借りたことを認め『認諾』し、結審しました。ところが一向に返済される目途が見えません。

不審に感じた市民らが、裁判の準備書面を情報公開で入手したところ、そこには㈱TSRから「返さなくてもよい約束だった」という旨の主張が記載されていました。
 

たばこ業者への貸付け その問題点は

連帯保証人は同居の家族
 担保は貸付金のわずか1割


貸付に関わる条例や規則では、貸付時に連帯保証人2名と相当の担保の提供を求めています。これに対し、㈱TSR・㈱CSRの連帯保証人は、2人とも同居の家族となっています。

貸付金5億円の担保は、5000万円であり、貸付金のわずか1割に過ぎません。とても、まともな貸し付けとは思えません。

たばこ税収の増収のためだけに行ってきた市のいい加減な対応が、今日の財政危機を招く大きな要因になっています


強制執行ができる 「公正証書」も未作成

貸付け時にかわした金銭貸借消費契約証書の第4条には、公正証書の作成義務とあります。「債権者および保証人は栗東市から請求ある時は、強制執行の認諾のある公正証書の作成に必要な手続きをする」となっています。

この公正証書を作成しておけば、返済が滞ったりした場合、市が強制的に相手の財産をさし押さえることができます。しかし、作成できていませんでした。

当時(H11~13年度)、㈱TSRからは年間10億円を超えるたばこ税が納税されていました。作成せずとも大丈夫という甘さがあったと思われます


住民訴訟が提起

貸付金はすべて税金 真実を明らかにすべき
市が㈱TSRに全額返済を求めた裁判で、㈱TSRが「返さなくてもよい約束だった」と主張していたことが明らかになったことを受け、5名の市民が大津地裁に住民訴訟を起こしました。

 市は財政危機をことさら強調し、市民には福祉医療費の削減や保育料・水道料金の値上げ、中学校給食の廃止など、あらゆる福祉施策を削減してきました。その一方で、たばこ業者へ貸付金は期日を過ぎても全く返済されず、その負担はすべて市民に押し付けなどという事態は許されません。

貸したお金は全て市民の税金です。市民に真実を明らかにすべきです。

 

返済期日を記載した公正証書を作成すると言うけれど

返済能力がないと主張する相手に効力があるのか?
市は㈱CSRに対し、返済期日を記載した公正証書を作成し、全額返済に向け協議を続けると説明しています。

公正証書は、本来返済事実までに作成しておくべきものです。返済がとどこらない様にするため、または滞った際に相手の資産等を差し押さえることで効力を発揮するものです。

いまや、返済期日はとっくに過ぎ、相手は「資産もなく、返済する能力がない」と主張しています。そのような相手に、返済期日を記載したところで、どの程度の効力があるのか、疑問です。

㈱TSRの『認諾』と同様に、「貸付金であり、返すべきものである」ことを認めた書類に過ぎず、現実の返済にはつながりにくいと思われます。

 






栗東民報 2014年4月20日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美