栗東民報 2014年2月9日号


保育園に入りたくても入れない 新制度の待機児童対策は

地域型保育が中心 ~無資格の保育士でも可

認定こども園や地域型保育の推奨で
  保育園の増設を抑制

2015年4月から子ども子育て新制度の実施に向け、政府の子ども子育て会議が議論を進めています。新制度では、施設型保育と地域型保育の2つに分類されます。

施設によって基準も別々につくられるため、格差が生じます。施設型保育となるのは、保育園、幼稚園、新たに導入する『認定こども園』です。しかし、市町村による保育の実施責任が規定されているのは保育園だけで(児童福祉法24条1項)、それ以外の幼稚園や『認定こども園』・地域型保育では、市町村は直接的な責任を負いません。

政府は、新制度において『認定こども園』や地域型保育などを推奨し、保育園の新規増設を抑制するのがねらいです。

 


低年齢児保育は地域型保育で

小規模保育・家庭的保育・居宅型訪問保育など
少子化でありながら、保育園を希望する子どもは増加傾向にあります。保育園に申し込んでも満員で入園できない“待機児童”の存在が社会問題になっています。その対応策として、政府は、認定こども園や小規模保育・家庭的保育・事業所内保育などの地域型保育を推進するとしています。

地域型保育は、これまで公費補助の対象外であった事業や認可外保育園等を給付対象にしたもです。具体的には、

◇0~2歳児を対象にした「小規模保育(6~19人)
◇個人の家で3人程度の子どもの保育を行う「家庭的保育」
◇保育者が個人宅に出向いて保育をする「居宅訪問型保育」(ベビーシッター)
◇企業による「企業内保育」
となっています。

待機児童の約9割が0~2歳の低年齢児です。地域型保育は、こうした低年齢児を預かる事業です。








市町村によって保育格差が生じるおそれ

地域型保育の基準は市町村が定めます。保育にあたる人員は国の基準に従いますが、それ以外の面積などの基準は、それぞれの市町村の裁量で決められます。市町村によって格差が生じるおそれがあります。

保育士資格がなくてもOK

人員基準については、保育園分園(A型)、保育ママグループ型(C型)、その中間型(B型)に大別されます。

待機児童の9割を占める0~2歳児の受け皿として位置づけられている小規模保育施設(B型)は、半数の職員が保育士資格もっていればよいとしています。家庭的保育は、市町村の研修を修了した者であれば、保育士の資格の有無は関係ありません。

特に死亡事故の多い0~2歳児を対象とする小規模型保育の基準緩和に対して、「保育士資格の引き下げは、子どもの命にかかわる大問題であり、認められない」との批判の声が上がっています。厚生労働省の調査でも、有資格者の少ない認可外保育施設での死亡事故は、認可保育園の2倍発生しています。

保育士基準の引き下げは、安心・安全な保育を求める願いには応えられません。



栗東市でも毎年存在する待機児童

保育士不足が主たる要因
栗東市では、現在55人の子ども達が入園を待っています(右表参照)。待機児童は毎年発生しており、その解消は親たちの切なる願いです。
  *過去の待機児童数:H24年度49人、H23年度89人)

待機児童が発生する主な要因は慢性的な保育士不足です。保護者や保育関係者が求めているのは、施設の多様化や保育士基準の引き下げではなく、保育士などの人員確保や認可保育園の増設に力を入れ、国や自治体が保育における公的責任を果たすことです。

栗東市においても「子ども子育て会議」が設置され、2015年度の新制度への移行を目指して、保育ニーズを把握するアンケート調査等が行われています。保育水準を低下させず待機児童を解消するためには、保育士の確保や施設の拡充を中心にした保育計画の策定が求められます。

 栗東市における待機児童数
   (H26年1月時点)
  年 齢   人 数
  0歳児    37人
  1歳児     8人
  2歳児     7人
  3歳児     1人
  4歳児     0人
  5歳児     2人
  合 計   55人 








栗東民報 2014年2月9日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美