栗東民報 2013年10月27日号


安倍政権の見直し案  ~介護保険制度

”社会で高齢者を支える”はどこへ

大幅な負担増計画
 ますます介護から遠ざけられる

高齢者の尊厳と自立支援を社会全体で支えあう仕組みとして介護保険制度が発足し、13年が経ちます。安倍内閣のもとで制度の見直しが進められています。

その主な内容は、要支援1・2の軽度者を介護保険から外し、地域支援事業に移行すること。現在1割負担である利用料を、一定所得を超える人については2割負担にする。特別養護老人ホームへの入所を「要介護3以上」にするなどです。

介護を必要とする人の利用を制限し、利用料を引き上げるなど、国民にさらなる負担増を強いる内容です。高い介護保険料を払い続けてもサービスが利用できない『掛け捨て化』の加速と『介護難民』を生み出す結果しかもたらしません。

要支援は介護保険の対象外に

現在、「要支援1・2」もしくは「要介護1~5」と認定されれば、訪問介護や通所介護などのサービスを、1割負担の利用料で受けることができます。このうち、「要支援1・2」を介護保険の対象から外し、市町村まかせの地域支援事業に移行するというのが、見直し案の最大の柱です。

栗東市における要支援1もしくは要支援2のサービスを受けている人は約187人(介護サービス利用者の約13.6%)です。この方々の介護サービスがばっさり切り捨てられることになります(下表参照)。

これまでと同じようにディサービス等に通えなくなり、自立した生活が送れなくなることが懸念されます。

 


                            (平成25年7月31日現在)

 栗東市の人口(人)  うち65歳以上(人)  高齢化率(%)
 66,673  10,698  16.0


栗東市における介護サービス利用者数

 要支援 1     72人
       2    115人
 要介護 1    343人
       2    293人
       3    233人
       4    180人
       5    141人
 合  計   1,377人





特養ホームへの入所  中度・重度だけが対象に

  施設入所待ちは338件も
特別養護老人ホームに入所できる人は「要介護3」以上に限定され、要介護1と2の人は入れなくなります。

栗東市民で、施設入所を申し込んでも入れない「入所待ち」件数は338件にのぼっています。高い保険料を払い続けても、希望するサービスが利用できていません。

利用対象者を「介護度3」に限定しても、こうした状況をますます深刻化させるだけです。入所施設の充実が求められます。


利用料を2倍に  ~1割負担が2割負担に

介護保険の利用料は、制度開始以来1割です。今回の見直し案では、一定以上の所得があれば2割に引き上げられます。その基準は年金収入280万円か290万円のいずれか(夫婦なら359万円か369万円)と言われています。

在宅サービス利用者は軒並み2倍に跳ね上がります。特養老人ホーム利用者で、月7000~15000円もの負担増になります。介護保険は、病気が治れば通院・入院をやめる医療保険とは異なり、いったん介護が必要になれば利用が生涯続く人がほとんどです。

この上、来年4月から消費税が8%に引き上げられれば、高齢者への負担増は計り知れません。消費税の増税は中止すべきです。


住居・食費補助の廃止も

特養老人ホームなどの入所者には、住民税非課税の場合、住居費や食費を軽減する「補足給付」があります。ところが、預貯金(単身で1千万円、夫婦で2千万円)があれば支給されなくなります。

自宅など2千万円以上の不動産がある場合も支給されません。不動産を担保に貸付けを行い、死後売却して回収するしくみまで導入されます。



台風18号による被害復旧へ

                   10月29日「臨時議会」が開会
9月15~16日に大きな被害をもたらした台風18号による被害復旧のための補正予算が組まれました。10月30日臨時議会が開催され、審査される予定となっています。

主な内容は、学校施設の修繕や農業用施設の災害対応、被災者生活再建支援金、災害弔慰金・罹災見舞金、災害廃棄物撤去・処分事業、道路や林道の復旧、観音寺水源地の応急復旧・復旧計画設計業務などです。

計上された予算は一般会計・水道・下水道あわせて2億2494万円です。これですべて復旧されるとういものではありませんが、可決されれば、復旧に向け具体的に動いていくことになります。






栗東民報 2013年10月27日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美