栗東民報 2013年6月30日号


返済期日が過ぎても回収できない
たばこ業者への貸付金

条例で定めた納税額も確保できていない
 ㈱CSRへの貸付け

栗東市は、たばこ業者4社に対し、合計で19億円を10年間貸し付けています。その内の3社において、返済期日が過ぎました。期日一括返済の契約でありながら、どこからも当初の契約どおり返済されていません。

㈱CSRには、H14年6月20日に3億円、H15年3月31日に2億円が貸し付けられています。2回目の返済期日が過ぎても、回収の目途すらついていません。条例による貸付要件のひとつに「10年間に50億円以上の税収が見込まれる者」とあります。しかし、貸付け以降の㈱CSRからの納税額は約23億1千万円で、50億円には届いていません。

貸付金が回収できないだけでなく、納税額も確保できていないのが実態です。たばこ税増収だけのために、市民の税金を貸し付けた責任が問われています。

 









H24年度の補正予算(最終)で担保金と相殺処理

H24年度一般会計補正予算(最終)において、㈱CSRから貸付金が回収できなかったとして収入の部で5億円を減額補正し、その代わりに担保金5000万円を新たな収入として増額補正されています。

市は、貸付金返済請求文書を送付し、弁護士を通じて交渉するなど、貸したものは返してもらうとの姿勢で、回収に向けて取り組んでいると説明しています。しかし、㈱CSRの系列会社(親会社)である㈱TSRの貸付金・5億円も回収できていません。回収の目途すらついていないのが実態です。

税収確保のつもりが 財政危機を招く結果に

条例・規則では、貸付けに際し連帯保証人2名や相当の担保の提供を求めています。しかし、貸付け時の2名の連帯保証人は同居の家族であり、5億円の担保は5000万円(貸付金の1割)の定期預金です。

まともな貸し付けをしてきたとは、到底考えられない中身です。たばこ税の増収だけのために行ってきた過去のいい加減な対応が、今日の財政危機を招く要因となっています。



貸付けには議会の議決が必要

賛成多数で可決

貸付金は市民の税金であることから、貸付けを行うためには議会の議決が必要です。

当時の記録から、㈱CSRは親会社から営業譲渡されたばかりで、企業としての実績もない状態でした。「経営者も住所も㈱TSRと同じであり、同一企業ではないか」「そうであるなら5億円の貸付は条例違反である」などの議論がされていました。

市は、㈱CSRの企業としての能力や返済能力などについては、親会社である㈱TSRの決算書等を示し、議会に説明していました。採決の結果、賛成多数で可決され、貸付けが行われました。

賛成した議員の責任が問われる

その後、㈱CSRからの税収は、23億1千万円程度にとどまり、条例で定められた「10年間で50億円以上」に届いていません。税収確保や貸付金回収に向けた対応がきちんとなされていたのか、議会はチエックできていたのか、賛成した議員の責任が問われる問題です。

日本共産党議員団は、たばこ業者への貸付金に関わる条例制定および貸付けに対しても反対してきました。また、本会議や常任委員会等で、条例に定められた税収を確保することや貸付金の回収に向けた取り組みについても最善を尽くすよう求めてきました。しかし、貸付時の契約書に明記された公正証書の作成もできていないなど、市として手を尽くしてきたとは言い難い事実も見受けられます。

税収増となるはずのたばこ業者への貸付けが、結果として市民に多大な負担増を強いる要因になり、住民訴訟も行われています。
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栗東民報 2013年6月30日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美