栗東民報 2013年5月12日号


 ストップ!96条改憲
 日本国憲法施行から66年

安倍政権のもとで、憲法改定の動きが急速に強まっています。

日本国憲法は1947年に施行され、今年で66回目の憲法記念日を迎えています。安倍政権は7月に予定されている参議院選挙で憲法改定を争点に持ち出し、まず改憲の発議を国会議員の「3分の2以上の賛成」が必要としている第96条を「過半数の賛成」に改定した後、第9条を改定し、自衛隊を『国防軍』に変えるのがねらいです。

第96条の改定は、時の政権の都合だけで憲法を改定しようとすることになり、立憲主義をくつがえすことにつながります。96条だけでなく、平和の原則を定めた9条の改定も許すわけにはいきません。

           

 憲法改定にきびしい条件は世界の常識

米国・奴隷解放も3分の2以上
最近話題になった、アカデミー賞受賞の映画「リンカーン」をご覧になりましたか。アメリカのリンカーン大統領が19世紀半ば奴隷解放を実現するため、南北戦争の真最中に憲法改定を実現するお話です。

ここで注目したいのは、奴隷解放のための憲法修正13条も、議会の3分の2以上の賛成と、さらに全ての州議会の4分の3以上の承認で成立した事実です。日本よりきびしい条件になっています。

安倍首相は、憲法を改定するには「3分の2以上」の賛成で発議しなければならないというのは、世界でも異常であるかのように言って、発議要件を緩和させようとしています。しかし、「リンカーン」に見るまでもなく、憲法改定にきびしい条件を設けているのは世界の常識です。国会の3分の2以上の賛成が必要という発議要件は先進国では普通です。

権力の活動をしばるのが憲法

憲法は国の法律の中で最高の法規であり、権力の活動をしばるものです。時の権力の都合で簡単に改定させてはならないために、きびしい改定要件が設けられているのです。

 憲法第96条[改定の手続き、その公布]

1、この憲法の改定は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2、憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。


 歴史逆戻りの自民党改憲案

97条「基本的人権は国民の永久の権利」を削除
自民党は昨年「日本国憲法改正草案」を発表しています。天皇を『元首』とし、自衛隊は『国防軍』とし、個別的であれ集団的であれ「自衛権の発動を妨げるものではない」という内容となっています。

さらに、自民党の改憲案は、基本的人権を「永久の権利」と定めた97条を削除しています。

「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、その他公務員はこの憲法を尊重し養護する義務負う」と定めた99条を、「すべての国民は、この憲法を尊重しなければならない」と変えて、権力ではなく、憲法で国民をしばろうとしていることは明らかではないでしょうか。

明治憲法へと時代を逆戻りさせるかのような内容です。
 

 改憲の考え方を超えて 広がる批判

改憲条件の緩和は 国民主権の否定そのもの
安倍首相は、こうした改憲の中身を隠して、「世界で異常」などの偽りの口実で、まず改定の手続きを定めた96条から変えて、憲法を他の法律と同じように改正しやすいものにしようとしています。

9条の改定には強い反発があるから、発議要件から緩和しようとするやり方は、立憲主義をくつがえし、国民主権を否定することです。憲法に対する考え方が違っても、こういうやり方に反発の声が高まっています。

いま、私たちに求められているのは、憲法96条も9条も改憲を許さない声を広げ、憲法を守り、暮らしに活かしていくことではないでしょうか。
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憲法第9条[戦争の放棄、戦力および交戦権の否認]

1、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない



栗東民報 2013年5月12日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ