栗東民報 2013年4月21日号


 福井原発事故・放射性物質の放出を想定した

栗東市地域防災計画「原子力災害編」の策定


 大飯原発から栗東市まで約60㎞

福島原発事故の被害は他人ごとではない

福井原発事故を想定した栗東市地域防災計画・原子力災害対策編の策定作業が進んでいます。現在、その素案がパブリックコメント(意見募集)に出されています。

福井県には、敦賀市・美浜町・高浜町・大飯町に6つの原子力事業所が存在し、合計で14基の原子炉が設置されています。滋賀県から最も近い敦賀原発からの距離は、最短で約13㎞です。

栗東市に最も近い大飯原発から栗東市までの距離は約60㎞の位置にあり、福島原発事故で発生した被害は他人ごとではない状況に置かれていると言えます。
    
 美浜原発事故のシミュレーションで栗東市域に

安定ヨウ素剤を服用する必要が出てくる可能性

敦賀・美浜・大飯・高浜原発で、福島第一原子力発電所における事故と同等の事故が発生したと想定した県の環境放射線物質拡散予測シミュレーション結果(以下、シミュレーション結果)では、半径30~50㎞の範囲で、放射性ヨウ素による小児甲状腺被ばく等価線量は100~500m㏜(ミリシーベルト)、それ以外の滋賀県のほぼ全域で50~100m㏜と予測されています。

特に美浜原発のシミュレーション結果では、栗東市域に安定ヨウ素剤予防服用の判断基準50m㏜以上を超す値が示されています。これにより、栗東市も安定ヨウ素剤を服用する必要が出てくる可能性がある区域であることが確認されました。

 安定ヨウ素剤の備蓄を

栗東市においても、安定ヨウ素剤の備蓄等が必要となってきます。しかし、今のところ安定ヨウ素剤の備蓄等はできていません。市は「まだ、国の使用基準が確定していないため」であり、「近々に確定される予定と聞いている。その基準を見て、対応を図る」としています。

隣の守山市などでは、すでに備蓄されています。いつ起こるかわからない事故の備えとして、早い対応が求められます。


 県のシミュレーションによれば

「自宅等への屋内避難を考慮する必要がある」

原子力災害編(素案)の主な内容は、災害応急体制の整備、情報収集・連絡体制等の整備、応急対策としての活動体制の確立、避難体制の整備、さらに事故後のモニタリングの実施・影響調査等で構成されています。

県のシミュレーション結果では、栗東市もプルームの影響を考慮する必要がある範囲に位置することが確認されました。原子力災害が発生した場合、栗東市民は少なくとも「自宅等への屋内避難を考慮する必要がある」などの対応を求められる場合があるとなっています。
 

 万一に備え 平常時からの体制整備を

いざと言う時に備え、速やかに市民への情報伝達・避難誘導等の対応を図るためには、平常時から、専門知識を身に付け、連絡・応援協力体制を確保する。非常用電源や通信手段・備蓄など様々な対応をしておくことが重要です。

栗東市も、昨年度放射線測定器を2台購入しました。常日頃から放射線量を測定し、いち早く変化に気づくよう備えることが大事です。ところが、平常時の環境放射線量測定は、県の行っている9か所のモニタリング等に頼っており、市に最も近いのは草津保健所であると説明しています。

市の放射線測定器は、いつでも持ち出しできるようにしていると言うだけで、有効活用されていません。市民いのちと安心・安全を守る立場でのもっと積極的な対応が求められます。
 


栗東民報 2013年4月21日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ