栗東民報

栗東民報 2013年2月3日号

たばこ業者への貸付金未回収問題

TSR:『認諾』したものの返済の意思が見えない
「返さなくてもよい」市の提案があったのか?

違法な貸し付けを行ったとする請求に理由がないとして棄却

栗東市が鰍sSR対し貸付金5億円の全額返済を求めて提訴していた問題で、5名の住民(代表:玉田實氏)は、情報公開で市が大阪地裁に提出した準備書面を入手しました。そこには、違法と認められる記述があり、損害賠償を求める監査請求書を提出していました。

去る1月25日、監査委員から「違法な貸し付けを行ったとして、損害賠償を求める請求に理由がない」として、請求を棄却するとの判断が出されました。


 




監査請求書を提出する住民ら(11月26日)

 『(仮)新たばこ条例』制定が検討された事実はあるが
  貸付金を返さなくてもよい約束の記述はない

市が鰍sSRに5億円の貸付けを行う際に、『(仮)新たばこ条例』を制定し、そこで支給される資金を、貸付金返済に充当するよう提案していたと、請求人らは主張しています。

さらに、H15年12月議会に提案された『栗東市企業事業資金貸付条例改正案(以下、改正案)』は、市が鰍sSRに返済をしなくてもよいという条件を出していた事実を裏付ける内容となっています。

これに対し、監査委員は、『(仮)新たばこ条例』の制定が検討された事実はあると認めています。

しかし、貸付の際に鰍sSRとの間で交わした契約書にはその記載がないこと。その後の国の税制改定により、『(仮)新たばこ条例』である『改正案』は廃案になりました。以後この種の条例を企画した事実がないこと。最終的に、栗東市の貸付金返済訴訟請求で鰍sSRが『認諾』し返済義務があることを認めたこと。これらの事実関係のもとでは、違法性は認められないとしています。
 
 *『栗東市企業事業資金貸付条例改正案』が廃案になった理由
国の税制改正により、市町村たばこ税道府県交付金が創設され、たばこ税収の上限額が定められました。上限額(栗東市は約10億2千万円)を超えた分は翌年県に納めなければならなくなりました。たばこ税の増収を図るメリットがなくなったため、検討する理由もなくなりました。
 

『認諾』で返済を認めたものの
   いまだに返済計画が出ていない

監査委員は「裁判で鰍sSRは認諾し、最終的に返済義務があることを認めた」と締めくくっています。しかし、結審から10か月が経過し、いまだに鰍sSRから返済計画書が提出されていません。

市は再三にわたって請求していると言いますが、鰍sSRから一向に返済の意思が示されていないのが実態です。




市は「 鰍sSR・鰍bSR同じステージで返済交渉をしていく」
監査委員「別会社で代表者・住所が同一は珍しいことではない」

鰍sSRと鰍bSRは、準備書面等からも実質的に同一企業と判断せざるを得ないとする主張に対し、監査委員は請求人の主張を認めながら「代表等が共通である複数の企業が、独立して存在することは珍しいことではない」として棄却しました。

その理由は、設立時の本店所在地は別々であったこと。資産・計算関係か区別して処理されていること。栗東市のたばこ税収の取り扱いも2社区別して処理していること等を上げています。

しかし、市はH24年8月の議会説明会で「貸付金返済の交渉においては、2社あわせて9億円の返済計画の提出を求めていく」と答弁しています。法人登録や会計上の取り扱いを分けて、見た目は区別していても、実態は同一の扱いをしていると指摘せざるを得ません。

 
 *栗東市企業事業資金貸付条例・規則では、一つ事業者に5億円を限度として貸付けができるとしています。鰍bSRは鰍sSRが100%出資する子会社で、住所・経営者ともに同じです。貸付けを行う際の議会の審査においても、同一企業ではないかと問題視されていました。  

もっと詳細な監査を
監査結果に対し請求人らは「違法性を立証するには、証拠不十分と判断されたようだ。私たちが提出した資料以上の事実は明らかにならなかった。もっと市に資料を提出させるなどして、詳細に監査していただけるものと思っていた。残念です」との感想が寄せられています。










栗東民報 2013年2月3日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ