栗東民報

栗東民報 2013年1月13日号

今後の土地開発公社のあり方について
   〜土地開発公社経営検討委員会が報告書を提出

公社の存続意義が見いだせず
『3セク債』を活用して解散することが最善の方策

186億円にものぼる債務を抱え、経営困難に陥っている栗東市土地開発公社の今後のあり方を検討するため、市は4名の外部委員による「栗東市土地開発公社経営検討委員会(以下、検討委員会)」を6回にわたって開催していました。

市は、1月7日の議会説明会で、検討委員会は「公社の債務を解消していく手法としては、『3セク債』活用による公社解散が最善の方策である」との結論に至ったと説明しました。

 




165億円の公社保有土地
 時価評価額はわずか35億円に

検討委員会は、H24年1月に設置されました。弁護士や公認会計士、不動産鑑定士、大学教授(法学部)の4名で構成されています。6回にわたる検討委員会で、公社の保有している土地の資産評価や土地取得経過の検証等が行われました。

公社が保有している土地の資産評価について、不動産鑑定を実施した結果、公社保有土地約165億2000万円の帳簿価格(簿価)に対し、時価評価額は約35億5000万円で、時価と簿価の差額が約129億7000万円もあることが明らかになりました。

このうちの約60%は新幹線関連が占めている。地価はバブル期との比較で1/3程度に下落している。下落率・時価簿価差額ともに大きい。というのが、公社が経営困難に陥っている主な要因です。

 

公社は市と一体的な運営
 間違いは起こりうる

土地取得経過の検証では、
@鑑定価格を上回る価格設定での土地取得があった。

A通常は市からの『公共用地取得業務依頼書』を受け、土地鑑定を行い、公社理事会の承認などを経て取得するという順序で手続きするが、この過程において不適切な取り扱いがあった。

B事業が中断されたにもかかわらず、市に買い戻しがなされず、公社が長期間保有し続けている土地がある。

C公社は法人でありながら、市の幹部や市会議員が役員や事務局を担っており、市と一体的な運営になっている。この様な体制ではチエック機能が働きにくく、間違いは起こりうる。
などの厳しい指摘を受けました。

こうした実情を踏まえ、検討委員会では、公社が置かれている状況は非常に深刻であるとの認識をしました。


検討委員会が市長に報告書を提出

 の後、検討委員会では債務処理の方策等について財政シュミレーションを行いながら検討し、公社の存続・解散について議論されました。その結果、

@公社をこのまま放置すれば、市の財政破たんを招く恐れがある。

A今後公社における用地の先行取得の見込みは少なく、公社の存続意義は見いだせない。

B債務解消の手法として、『3セク債』の活用が市の財政リスクが少なく、最善の方策である。
との判断に至りました。

1月9日、市長宛てに報告書が提出されました。





市民が160億円を負担することに

その内の60%が新幹線新駅関連

検討委員会の報告書を受け、市は『3セク債』の発行と公社の解散に向け具体的に動き出します。詳細な内容はこれから検討されますが、公社の借金160億円を30年間かけて、市が返済していくことになります。

検討委員会の議論からも、チエック機能が十分働いてこなかったことによる鑑定価格より高値での土地所得や手続きの不適切さ、処分見通しのない土地の取得、適切な処分をせず長期にわたり保有し続けてきたことなどが、公社を経営困難にした要因と言えます。

中でも、最も大きい借金は新幹線新駅事業で、全体の約60%を占めています。多くの市民が反対する声も聞かずに、市は無謀な大型開発を進め、湯水のように税金をつぎ込んできました。その結果、生み出された巨額の借金が、市民に押し付けられることになります。

市はこうした事実を真摯に受け止め、税金の使い方には慎重な上にもっと慎重さを持ち、今後の市営運営にあたるべきです。

 




0323.jpg







栗東民報 2013年1月13日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ