栗東民報

栗東民報 2012年10月21日

国・自治体の保育責任を後退させる
子ども子育て新システム

全国で認可保育園に申し込んでも満員で入れない待機児童が、今年の4月時点で24、825人にのぼることが厚生労働省の調査で明らかになっています。入園を希望していても、あきらめて申し込みもしていない等の『潜在的待機児童』は、全国で10万人と言われています。

そういう中で、子ども子育て新システム関連法(以下、新システム)」が成立しました。「新システム」の目的は、国と自治体の責任で認可保育園を作るのではなく、株式会社などを多く算入させ、営利目的による多様な保育サービスを増やすことにあります。

公的保育責任を後退させた「新システム」のもとで民営化を進めていけば、保育の質の低下に歯止めがかからなくなる危険性は否定できません。国や自治体の果たすべき保育責任が問われています。


8月10日に参議院で可決された「新システム」に対し、全国保育団体連絡会などが指摘している問題点をいくつかご紹介します。

市町村の保育責任が大幅に後退

児童福祉法第24条の市町村の保育実施義務の規定は残ります。しかし、これまで保育を必要とする全ての子どもが対象であった市町村の保育責任が、保育園利用に限定されました。

認定こども園や家庭的保育事業等については責任をもたない内容になっています。市町村の保育責任は大幅に狭められています。


市町村は保育の必要性を認定
  利用者は施設との直接契約

市町村が保護者の申請に基づいて保育の必要性を認定し、保護者が直接施設に申し込む直接契約する仕組みになっています。当分は自治体が窓口といいますが、期間限定です。

保育の認定において、短時間利用の区分を設けることで、子どもの保育が分断される問題も残っています。保護者の就労状況によって、保育がつぎはぎにされることは、保育施設の運営を困難にし、経営の不安定化、保育士の労働条件の低下に直結します。


施設整備の補助金廃止

これまでの認可保育園を建設費に対し、国が1/2、市町村が1/4を補助してきました。これが廃止されます。

補助金が廃止されれば、新しい認可保育園はつくれなくなるばかりか、老朽化による建て替えや改修、耐震補強なども困難になると言わざるを得ません。






保育園に入りたくても入れない
待機児童が43人も!


 年齢    待機児童数数
 0歳児     18人
 1歳児     15人
 2歳児      6人
 3歳児      1人
 4歳児      0人
 5歳児      3人
 合 計     43人
栗東市内における待機児童数
(10月10日時点)

公立保育園の民営化では
 待機児童は解消できない

栗東市でも待機児童は毎年発生しています。その主な原因は慢性的な保育士不足であり、改善が求められています。

市は「公立保育園の民営化で、保育士不足を改善し、待機児童を解消する」として、H22年4月から大宝保育園を民営化しました。しかし、H23年度末の待機児童数は89名と過去最高となり、全く改善されていません。

待機児童解消のために必要なことは、公立保育園の民営化ではなく、認可保育園の増設と保育士の確保であることは、明らかです。


 
金勝第2保育園運動会

保育士の確保で 待機児童の解消を

市の「就学前保育における民間活力活用の基本方針ならびに基本計画」では、治田保育園と治田西保育園(H26年度実施予定)、ならびに金勝第2保育園(JRAとの協議が整い次第実施)の民営化が計画されています。

この計画に対し、市は「新システムの具体的な中身が明らかでない現時点では、進めるとも止めるとも判断できない。今後の新システムの動向等を見て、判断していきたい」としています。これでは、当分の間、待機児童の解消は進まないことになります。

いまも43人もの子ども達が保育園への入園を心待ちにしていることを考えれば、市は保育士確保や施設整備にもっと力を入れ、待機児童を解消し、保育責任を果たすべきです。


 







栗東民報 2012年10月21日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ