栗東民報

栗東民報 2012年9月23日

「いじめ」と教育を考えるシンポジウム

                    8月26日大津市で開催

子どもの命が一番の学校・行政・社会をつくるために

昨年10月、大津市立中学校に通っていた中学2年生が自殺をするという痛ましい事件が起こりました。自殺の背景に深刻ないじめがあったことが明らかになっています。
多くの国民が、事件に胸を痛めるとともに、こうした悲劇を繰り返さないためにはどうすればよいのか、何が必要かなど真剣に考えています。9月議会における個人質問においても、いじめと学校教育に関わる質問が多く出されていました。

日本共産党は、去る8月26日、大津市にある解放県民センター『光荘』において、パネリストの一人に宮本たけし衆議院議員を招いてシンポジウムを開催しました。保護者や教育関係者など100名程度の参加があり、様々な視点から意見交換が行われました。



          

 




過度な競争教育の改善を
   国連子どもの権利委員会が指摘
いじめは許されるものではありません。しかし、どこでも起こりうるものです。いち早く察知して、学校・保護者・地域の連携した対応で、集団の中で解決することが重要です。

シンポジウムでは、国連の子ども権利委員会が日本政府に対し「過度に競争的な教育制度のもとで、子どもの発達が阻害されている」として、現状を改めるよう再三にわたって求めているにもかかわらず、一向に改善されていないと指摘されました。

さらに、企業倒産やリストラなどによる親の経済状態や生活基盤の不安定さが、子ども達に大きな影響を与えていることも明白です。

過度な競争教育と社会のゆがみの中で、子ども達はストレスを抱え込み、不安定な精神状態に陥り、本来連携して成長してくはずの子ども同士の間で、暴力・いじめ・仕返しなどが繰り返されていると言えます。

また、「10年前と比べて、いじめの中身が変わってきている。孤独を恐れる心境が広がってきている。外国では6〜7割の子どもがもつ自己肯定感が、日本の子どもは3割程度と低くなっているためである」という意見も出ていました


 





子どもの変化をいち早く察知するために
教員の多忙化の改善を

教員の多忙化が、問題視されています。参加された教員から、「報告書などの事務量が増え、教室にいるより職員室のパソコンに向かう時間が増えた」「子どもの変化や子どもの表情から起こっていることの重大さを早めに察知するためにも、普段から子どもと一緒にいる時間を増やしたい。そのためには事務の簡素化などが必要だ」などの声が上がっていました。

いじめの60〜70%が中学2〜3年生で、自我の目覚めの時期にいじめに出会うケースが多く、とりわけ自我の尊厳を傷つけられる重大なケースは、教員相互の相談など集団の中で対応することが求められます。しかし、いまの教育現場ではこうした時間が保障されず、教員が疲れ切っているとの報告もありました。

 





いじめのあった大津市立中学は道徳教育推進校
規範意識の向上で いじめは解決しない
いじめをなくすためには、何よりも規範意識を身に付けさせることが重要だとして、道徳教育を推進する傾向が見受けられます。近年、規範意識が薄れてきていることは確かで、ルールを守る意識を高めることは大切なことです。

しかし、大津市のいじめによる自殺が起こった中学校は、文科省の道徳教育推進指定校であり、いじめの被害・加害生徒は1年生の頃、その道徳教育を受けていました。にもかかわらず今回のような事件が発生したことから、宮本たけし衆議院議員は、「深刻ないじめほど道徳や規範意識の指導では効果がない。深い心の傷を解きほぐしていくことが、いじめをやめさせることにつながる」と話されました。

過度な競争教育・社会のゆがみ・教員の多忙化などの根本原因を改善してこそ、子ども達の健全育成につながります。弱いものいじめの社会を変え、いじめや暴力をなくし、子どもの命や権利が尊重される学校・行政・地域をつくっていくために、皆さんと一緒にがんばります。











栗東民報 2012年9月23日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ