栗東民報

栗東民報 2012年9月16日

飲み水の会が栗東市へ要望

揮発性有機化合物の掘削除去と
 市民説明会の開催を

RD処分場から22,000ppmもの硫化水素が発生してから12年が経過しようとしています。ようやく対策工事(案)が県から示され、周辺自治会との間で協議、決定されようとしています。

栗東市民の飲み水は、その7割を地下水に依存していることから、RD処分場からの地下水汚染問題は、栗東市民全体のいのちと健康に関わる重要な問題です。

しかし、大半の市民には、工事の説明どころか意見を言う機会も与えられないままに、決定されようとしていることに対し、『RD処分場の有害物から飲み水を守る会(飲み水の会)』は、去る8月23日、栗東市に地下水を汚染している揮発性有機化合物(VOC類)の掘削除去と市民説明会の開催を求める要望書を提出しました。


 




県の対策工の掘削は処分場周囲と上部だけ
処分場中央部の深部は手つかず

県の対策工事(案)の最大の問題点は、元従業員の証言でもあり、地下水汚染を引き起こしている原因物である『深いところに埋め立てられた数千本ものドラム缶の内容物』を撤去する内容になっていないことです。

ドラム缶の内容物は、クリーニングや工場の機械などの洗浄に使用する廃洗浄溶剤であり、非常に発がん性の強い揮発性有機化合物(VOC類)であることが、県の調査で判明しています。

高濃度の表層ガスが検出された木くず焼却炉周辺は、VOC類の本体が存在する可能性が極めて高い場所でありながら、県の対策案では3〜5m程度の掘削にとどまっています。

VOC類は比重が重く地中に深く浸透するため、この程度の掘削では、その本体を捉えることができず、有害物の地下水への流出を防ぐことはできません。最近問題視されている「胆管がん」の原因物質であるジクロロメタンに類する廃洗浄溶剤が多量に含まれていることも見逃せません。


 


H17年12月。RD処分場西市道側。ダイオキシン、鉛、PCBなど多くの有害物が詰まったドラム缶が掘り出されました。元従業員の証言では、これと同じものが数千本ほど埋め立てられたと言われています。

元従業員の証言は
「20〜30m深いところに埋めた」
   有害物を残す対策工は 飲み水への不安も残す
市民の願いは、地下水汚染の原因となっている有害物を取り除き、将来にわたって生活環境や飲み水の安心安全を守ることです。

飲み水の会は「県の調査で、ドラム缶の中身であるVOC類が埋まっている最も疑わしい場所がわかっているのに、そこを掘らないのはおかしい」として、県に木くず焼却炉周辺を20〜30m掘削することを要請するよう求めました。
同時に、「対策工に関して、市民の意見を聞くのが市の役割である」として、市に説明会の開催を求めました。

これに対し、8月31日付けで、市から文書回答がなされました。市は、木くず焼却炉周辺の深部の掘削については、県による3mの掘削状況などを確認しながら要請する。市民説明会は、県に開催するよう要請していると答えています。

わずか3m程度の掘削で深部の状況がわかるとは到底考えられません。
12年前、隣の守山市でVOC類が地下水に流れ込んだことから、飲み水まで汚染された実例があります。守山市は、約5億円を投じ、浄化処理施設を設置し、対策を取りました。

VOC類には発がん性があり、水に混じりやすく、ひとたび地下水を汚染すれば広域に拡散しやすい物質です。このままでは、同じような被害が、近い将来栗東市においても発生する恐れがあります。

市には市民の飲み水の安心安全を守る責務があります。処分場中央部を深く掘削するよう、もっと積極的に県に要請するべきです。



 













栗東民報 2012年9月16日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ