栗東民報

栗東民報 2012年8月26日号

RD産廃処分場で行われようとしている

産廃特措法による対策工事を視察

 

全量撤去でない『支障除去』対策で
 安心安全が保障できるのか

H16年3月に発覚した岐阜市椿洞(つばきぼら)の産業廃棄物不法投棄現場では、H21〜24年度(4年間)にかけて、国の支援(産廃特措法適用)を受けた対策工事が行われています。特措法による対策は、全量撤去ではなく、『支障除去』と言われる工事です。

栗東市の旧RD産業廃棄物処分場においても、滋賀県は産廃特措法のよる対策工事を実施するとして、周辺自治会との協議が進められています。こうした状況のもと、市議会による視察研修が行われました。支障除去の対策とはどのようなものか、太田・大西議員も現場を視察しました。





廃廃特措法による支障除去では
 廃棄物が残る 環境汚染の不安も残る

岐阜市椿洞は、約75万m3もの産廃を山間に不法投棄された事案で、H17年に内部で廃棄物が燃え、ガス調査で170万pg(環境基準の28万倍)ものダイオキシン類が検出されています。

本来不法投棄であれば全量撤去が当たり前ですが、特措法に基づく『支障除去』では、土壌環境基準(ダイオキシンでは1000pg)を超える土壌や金属・木くず・がれきなどの廃棄物は、選別により撤去されますが、基準値以下の土壌は埋め戻されることになり、その結果撤去される量は約20万m3(全体の27%程度)です。

鉛などの有害廃棄物も存在しますが、国の基準(溶出試験での分析)以下であるため、撤去の対象ではないと説明されました。有害な物質が存在しながら、撤去されないことに対する住民の不安が残ります。


 




廃棄物の選別作業はテント内で
 下流域の調査は工事後も継続

椿洞の現場は、近くに人家のない山間であり、重機による掘削や掘削後の廃棄物の保管・選別作業が行われていても、ほこりや有害ガス、騒音・におい等による市民生活への直接的な影響が、ほとんどなさそうですが、掘削した廃棄物土の選別作業は、外部から遮断されたテント内で行われていました。

不法投棄された廃棄物や掘削工事などによる下流域の河川・水源・農業用水等への影響は、データーを取って、安全確保に努めているとのことでした。また、対策工事終了後も、同様に水処理や水質チェックを継続し、対策工事の効果を見ていくと説明されました。


 






RD処分場問題
「市民説明会」の開催を
RD問題が発覚して以来、処分場下流域にある『経堂が池』の水は、農業用水としては使用されていません。また、2001年に栗東市から出された「地下水の安全が確認できるまで、井戸水の飲用を控える指導」も継続された状態です。周辺自治会との協議の場で、県が示した対策工事(案)によって、これらが改善されるのでしょうか。

県の対策工事(案)は、地下水汚染を引き起こしている原因物である『深いところに埋め立てられた数千本ものドラム缶の内容物』を撤去する内容になっていません。

また、工事終了後5年を目途に、工事の有効性を確認し、有効でないと判断された場合は、追加対策を検討するとしています。違法有害廃棄物の根幹を残したまま、浸透水の水処理と下流域の水質調査を継続するだけで終わろうとする対策工事(案)には安心安全の保障が見受けられません。

市民の飲み水に関わる問題でありながら、大部分の市民は対策工事の説明を聞くことも、意見を言う機会も与えられず、決定されようとしており、周辺自治会からも全市民を対象とした市民説明会の開催を求める声が出ています。


 








栗東民報 2012年8月26日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ