2次対策(案)では地下水汚染は止まらない?!
撤去する汚染廃棄物は6.3万m3
不法投棄全量72万m3のわずか9%
5月21日、県と周辺自治会との協議の場で、県からRD処分場問題における2次対策(案)が示されました。主な内容は、処分場から25万m3の廃棄物土を掘削し、その内の75%(18.7万m3)は汚染されていない土と推定されるため、分別して処分場内に埋め戻し、残りの25%(6.3万m3)が汚染につながる有害物として撤去するというものです。
要するに、処分場に不法投棄された72万m3もの廃棄物土から、撤去する有害廃棄物は、わずか6.3万m3(約8.8%)です。さらに、県は2次対策にかかる工期は4〜6年、費用は40〜70億円であり、国の延長特措法で対応すると説明しました。
|
|
県と周辺自治会との協議の場(2012.5.27) |
|
知事の選挙公約
『有害物の全量撤去』からは程遠く
嘉田知事は「RD処分場の有害物は全量撤去」との選挙公約を掲げ、知事就任後専門家や住民等で構成する「県対策委員会」を立ち上げ、対策工事について審議してきました。この委員会が知事に出した答申は『有害物の全量撤去』でした。
ところが、県はこの答申を無視し、『遮水壁による有害物の封じ込め(県案)』を提案してきました。当然のごとく、県案には住民合意が得られず、対策も進まず、深刻な事態になっていました。
今回県が掘削すると提案している廃棄物土25万m3のうち撤去する量は6.3万m3で、不法投棄量72万m3に対し、わずか8.8%にすぎません。しかも25万m3の大半は、H17年に169個のドラム缶類が発見された西市道側と強アルカリ性物質などが検出された沈砂池周辺土壌であり、すでに一部撤去が行われた場所です。
元従業員が「有害物の入ったドラム缶をつぶして大量に埋めた」と証言している処分場の中央部については、これまでから十分な掘削調査が行われていません。この部分を深く広く掘削することが求められます。しかし、残念ながら2次対策(案)には、この様な内容は盛り込まれていません。
|
|
撤去すべき汚染の原因物は
表層ガスが出た場所の地中深くに
地下水汚染の原因となっている有害物は、表層ガス調査でガスが検出された場所の地中深くに埋まっている可能性が高く、とくに広域にわたって地下水汚染を引き起こす恐れがある揮発性有機化合物(VOC)については、速やかに除去すべきです。
しかし、県の2次調査(案)で撤去する有害物の中にVOCもダイオキシンもありますが、それぞれ1か所のみで、大半がヒ素・ホウ素・フッ素となっています。ガス調査の結果を無視した対策としか思えない内容となっており、このままでは危険性の高いVOCの発生源が地中深くに残されかねません。
|
延長特措法で対応と言うけれど
延長法はまだ成立していない
県は産廃特措法(国の補助)によって、対策工事を実施するとしており、2次対策工事を延長特措法で対応するためには、1次対策で現行特措法(H24年度末までの時限立法)に適用されることが条件となっています。
ところが、いまだに協議中であり、1次対策の適用が認められていません。さらに、延長特措法もまだ成立すらしていません。県の計画は「適用されたら・・」とか「延長されれば・・」という仮定での話です。
市民から、40〜70億円もの予算を計上しながら地下水汚染の原因物を除去できるのか、これだけの予算があれば全量掘削できるのではないか、疑問や不安を感じるとの声が寄せられています。
将来にわたる飲み水の安心安全のためには、限られた予算をどのように使うべきか、県は住民の声にもっと耳を傾け、対策工事策定に臨むべきです。
|
|
栗東民報 2012年5月27日号
日本共産党栗東市委員会発行
市委員長 國松清太郎
市会議員 大西とき子
市会議員 太田ひろみ
|
|