栗東民報

栗東民報 2012年4月8日号

『震災がれき』広域処理の問題点は

 放射能・有害化学物質・アスベスト・PCBなどが検出

震災被災地が望んでいない広域処理
 びわ湖・飲み水への影響は

環境省は東日本大震災で発生した『がれき』の広域処理を進めるため、田島環境副大臣が3月27日に開催された滋賀県市長会で、各自治体に受け入れを求めました。

マスコミ報道よると、高島市・近江八幡市・長浜市が受け入れを前提に前向きな姿勢を示し、守山市・野洲市は焼却容量不足を理由に困難との見解で、栗東市は「庁内で議論する」との意向を示したと報じています

震災がれきの受け入れに関しては、放射能を帯びたものだけでなく、放射能を帯びていないものにも、安全性の確保や十分な事前検査が大前提であることは言うまでもありません。しかし、今回の広域処理はこうしたことが全く考慮されていません。

震災被災地が望んでもいない震災がれきの広域処理を、国が強引に進めようとしていますが、環境への影響や問題点について「びわ湖の水と環境を守る会」の顧問である畑明郎氏(元栗東市環境調査委員会専門委員)に聞きました。

 





放射能を帯びた震災がれき焼却灰
  びわ湖への漏えいが心配


放射能を帯びたものは「封じ込めと拡散させないこと」が原則です。関西広域連合では、「1sあたり100ベクレルの震災がれきの焼却、1sあたり2000ベクレル以下の焼却灰」を条件に受け入れようとしていますが、これは危険と言えます。

なぜなら、群馬県伊勢崎市の一般廃棄物処分場で、1sあたり1800ベクレルの焼却灰を埋め立てたのに、大雨で放射性セシウムが水に溶けて排水基準を超えたと報告されています。

近江八幡市が、震災がれきの焼却灰を3年間で1万トン受け入れ、琵琶湖岸にある市立一般廃棄物処分場へ埋め立てることを検討していますが、1sあたり2000ベクレルを上限とすれば、1万トンあたり最大200億ベクレルの放射性セシウムが埋め立てられることになり、排水等によるびわ瑚への漏えいが危惧されます。


放射能を帯びていない震災がれき
 焼却で大気中に飛散するおそれ

  重金属・有害性物質・アスベスト・ヒ素など

被災地では、津波や地震・火災などで工場や事業所が破壊され、鉱山鉱滓堆積の決壊で、ヒ素を含む大量の鉱滓が流出しました。

さらに、金属製錬所の損傷による重金属の流出、石油化学工場や製紙工場などの損壊による有害化学物質の流出、クロム・ヒ素系の木材防腐剤を塗った柱材や角材の流出、建物の破壊によるアスベストの飛散・流出などが発生したため、震災がれきには重金属・有害化学物質・アスベストなどが含まれる可能性があります。

こういう有害物質を含んだがれきを一般廃棄物焼却炉で焼却した場合、処理できないため、焼却灰に残留したり、排ガスとして大気中に飛散するおそれがあります。大気中に飛散されれば、大地・水などに影響が及ぶことは避けられません。
 


震災被災地は

『震災がれき』は現地で処理を!

早く片付けなくても困らない
 雇用も発生し地元に金が落ちる

岩手県岩泉町長は「震災がれきを、なぜ無理して早く片付けなくてはならないのか。山にしておいて、10〜20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。もともと使っていない土地がいっぱいあり、早く処理されなくても困らないのに、莫大な税金を使って全国に運び出す必要がどこにあるのか」と発言しています。

 岩手県陸前高田市長も「市内にがれき処理専門のプラントを作れば、自分達の判断で今の何倍ものスピードで処理ができる」と発言しています。

 福島県南相馬市長は「リサイクルのためのがれきが足りないので、宮城・岩手県の放射能の低いがれきを使いたいと環境省に申請したところ、被災地にまわすがれきはないと断られた。海岸に防波堤をつくり、その後ろにがれきの山に植林した防災林をつくる計画を立てているが、18qにわたる広大な長さなので、がれきが足りなくて進められない」と発言されています。要するに、震災被災地は、震災がれきの広域処理を望んでいないのです。

政府はもっと被災地の声に耳を傾け、国民の健康と安全を守る立場で、震災がれきの処理や放射能汚染拡散防止対策を講じる必要があります。



 











栗東民報 2012年4月8日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ