今年6月の国会で介護保険法改定が成立し、2012年度から介護保険制度が変わります。同時に、来年度は3年に一度の介護保険料改定の年でもあり、現在市では2012〜2014年度における「第5期介護保険事業計画」の策定がされています。この計画によって、3年間の保険料や介護サービスの内容が決まります。
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施設入所待ちは増えるいっぽう
だれもが安心できる介護保障を
介護保険がスタートして11年が経ちました。この間介護サービスの総量は増えましたが、自公政権の社会保障削減路線のもと、負担増やサービス削減、介護報酬削減などが繰り返されてきた結果、制度の矛盾が様々なかたちで噴出しています。
特別養護老人ホームに入れない人(待機者)は、滋賀県内で9152人、栗東市では365人にものぼります。介護保険が開始された時との比較で、約24倍(栗東市)にも増えており、施設整備の遅れが待機者を激増させています。
その一方で、介護保険料は改定ごとに上がり続け、制度発足時2700円が、H23年度は約1.6倍の4326円になっています。「高い保険料を払いながら、受けたい介護が受けられない。何のための介護保険なのか」と怒りの声が寄せられています。
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国の試算では 月額で5000円を超える
高くて払えない保険料の引き下げを
介護保険料の度重なる値上げは、高齢者の生活を悪化させる大きな要因となっています。今回の改定で、厚労省は全国平均で月額5000円を超えると試算しています。
値上げの根本原因は、介護保険制度が開始される前、国が50%負担していた介護費用を、介護保険開始と同時に25%に削減し、その後さらに23%にまで引き下げました。
制度に係る国庫負担削減分が全て保険料に跳ね返り、介護サービスの利用が増えれば増えるほど、保険料の値上げが続くことになります。施設整備が進まないのもこのためです。
値上げを抑えるためには、介護への国や県・市の公費負担を増やすことが不可欠です。また、今回の法改正で取り崩しが可能となった「財政安定化基金」(約1300万円)や「介護給付費準備基金」(約1億円)などを保険料引き下げに充てることが求められます。
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年度 |
介護保険料(月額) |
第1期 |
H12〜14 |
2700円 |
第2期 |
H15〜16 |
3517円 |
第3期 |
H17〜19 |
4200円 |
第4期 |
H20 |
4200円 |
H21 |
4263円 |
H22 |
4326円 |
制度開始からの栗東市における介護保険料
(65歳以上の基準額)
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2011.6.1現在 |
2010.5.1現在 |
介護保険開始時 |
栗東市 |
365人 |
268人 |
15人 |
滋賀県 |
9152人 |
8817人 |
582人 |
特別養護老人ホーム待機者数(実人数)
9月25日付けの栗東民報から抜粋
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要支援者へのサービスを引き下げる内容も
新制度では「要支援1・2」への介護サービスを「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」に置き換えることができることになります。
「総合事業」とは、介護保険本体とは別枠の「地域支援事業」の一環であり、費用には「介護給付費の3%以内」という上限がつけられます。介護保険指定サービスではないため人員や設備・運営などに厳格な基準もなく、安上がりの不安定サービスになりかねません。
「総合事業」を導入するかどうかは、市に決定権があります。導入されても、各人のサービスを「総合事業」に置き換えるかどうかも、市によって決定されます。厚労省は「本人の意向を最大限尊重しつつ・・」と言明しており、日本共産党は要支援者へのサービス縮小・削減にならないよう働きかけます。
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新・集中改革プラン 市民説明会のその後・・・
11月24日に開催された議会説明会において、『新・集中改革プラン(素案)』の市民説明会で出された意見とそれを踏まえて成案化した『新・集中改革プラン』が示されました。市が追加・訂正した項目は下記の6項目です。 |
@歴史民族博物館の貸館料金を追加する
屋外展示場:1持間につき700円
旧中島家住宅:1持間につき700円
かまど:3000円
A議長車運行の管理委託廃止を追加する。職員および民間タクシーで対応する
B自治ハウス整備関連補助金の改定に経過措置を設ける。H24年度に事業計画があるものについては、改定前の補助率等で対応する
C敬老祝い金
満100到達時のみ3万円支給 → 2万円に
D学童保育所保育料3000円(月額)の値上げを保留とする。市民説明会での意見を踏まえ別途協議する
E老人クラブ補助金の見直し
→県の補助対象事業であるため、見直しは行わない |
市は「先般の市民説明会での意見を踏まえ、一部追加・訂正し、さらに議員からの意見を聞いた上決定したい」と説明しました。
日本共産党議員団は、市民の命や健康保持に直接関わる以下の項目について、見直しを求めました。
・高齢者の医療費負担増(2割→3割)の見直し
・インフルエンザ予防接種の負担増(無料→2000円)の見直し
・プレ特定健診の負担増(1500円→2500円)の見直し
・70歳以上の各種検診の有料化の見直し
・心身障害者(児)(身障4級)の福祉医療費負担増の見直し
・高齢障害者(身障4級)の福祉医療費負担増の見直し
・重度心身障害者(児)の通院にかかる自動車燃料費・福祉タクシー助成制度廃止の見直し
市は他市並みに見直したと説明するが、これらの項目の中には、他市よりすでに低い水準になっているものもあると指摘しました。
これに対し、市は「県内他市より高い水準のものは難しいが、再度検討し、その結果を12月6日の議会開会日に成案化した『新・集中改革プラン』として説明する」と答えました。
市民説明会では「保育料や水道料金の値上げなど、子育て世代への負担が重い」として、見直しや子育て支援の充実を求める声も上っています。12月議会が12月6日から始まりますが、日本共産党は市民の声を議会に届け、福祉・暮らしの充実にがんばります。
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栗東民報 2011年12月4日号
日本共産党栗東市委員会発行
市委員長 国松清太郎
市会議員 大西とき子
市会議員 太田ひろみ
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