栗東民報

栗東民報 2011年12月4日号

今年6月の国会で介護保険法改定が成立し、2012年度から介護保険制度が変わります。同時に、来年度は3年に一度の介護保険料改定の年でもあり、現在市では2012〜2014年度における「第5期介護保険事業計画」の策定がされています。この計画によって、3年間の保険料や介護サービスの内容が決まります。


施設入所待ちは増えるいっぽう
だれもが安心できる介護保障を

介護保険がスタートして11年が経ちました。この間介護サービスの総量は増えましたが、自公政権の社会保障削減路線のもと、負担増やサービス削減、介護報酬削減などが繰り返されてきた結果、制度の矛盾が様々なかたちで噴出しています。

特別養護老人ホームに入れない人(待機者)は、滋賀県内で9152人、栗東市では365人にものぼります。介護保険が開始された時との比較で、約24倍(栗東市)にも増えており、施設整備の遅れが待機者を激増させています。

その一方で、介護保険料は改定ごとに上がり続け、制度発足時2700円が、H23年度は約1.6倍の4326円になっています。「高い保険料を払いながら、受けたい介護が受けられない。何のための介護保険なのか」と怒りの声が寄せられています。




国の試算では 月額で5000円を超える
高くて払えない保険料の引き下げを

介護保険料の度重なる値上げは、高齢者の生活を悪化させる大きな要因となっています。今回の改定で、厚労省は全国平均で月額5000円を超えると試算しています。

値上げの根本原因は、介護保険制度が開始される前、国が50%負担していた介護費用を、介護保険開始と同時に25%に削減し、その後さらに23%にまで引き下げました。

制度に係る国庫負担削減分が全て保険料に跳ね返り、介護サービスの利用が増えれば増えるほど、保険料の値上げが続くことになります。施設整備が進まないのもこのためです。

値上げを抑えるためには、介護への国や県・市の公費負担を増やすことが不可欠です。また、今回の法改正で取り崩しが可能となった「財政安定化基金」(約1300万円)や「介護給付費準備基金」(約1億円)などを保険料引き下げに充てることが求められます。



  年度 介護保険料(月額)
第1期 H12〜14 2700円
第2期 H15〜16 3517円
第3期 H17〜19 4200円
第4期 H20 4200円
H21 4263円
H22 4326円
 制度開始からの栗東市における介護保険料
  (65歳以上の基準額)


  2011.6.1現在 2010.5.1現在 介護保険開始時
栗東市   365人   268人    15人
滋賀県  9152人  8817人   582人
 特別養護老人ホーム待機者数(実人数)
  9月25日付けの栗東民報から抜粋





要支援者へのサービスを引き下げる内容も

新制度では「要支援1・2」への介護サービスを「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」に置き換えることができることになります。

「総合事業」とは、介護保険本体とは別枠の「地域支援事業」の一環であり、費用には「介護給付費の3%以内」という上限がつけられます。介護保険指定サービスではないため人員や設備・運営などに厳格な基準もなく、安上がりの不安定サービスになりかねません。

「総合事業」を導入するかどうかは、市に決定権があります。導入されても、各人のサービスを「総合事業」に置き換えるかどうかも、市によって決定されます。厚労省は「本人の意向を最大限尊重しつつ・・」と言明しており、日本共産党は要支援者へのサービス縮小・削減にならないよう働きかけます。


新・集中改革プラン 市民説明会のその後・・・
11月24日に開催された議会説明会において、『新・集中改革プラン(素案)』の市民説明会で出された意見とそれを踏まえて成案化した『新・集中改革プラン』が示されました。市が追加・訂正した項目は下記の6項目です。
@歴史民族博物館の貸館料金を追加する
  屋外展示場:1持間につき700円
  旧中島家住宅:1持間につき700円
  かまど:3000円

A議長車運行の管理委託廃止を追加する。職員および民間タクシーで対応する

B自治ハウス整備関連補助金の改定に経過措置を設ける。H24年度に事業計画があるものについては、改定前の補助率等で対応する

C敬老祝い金 
  満100到達時のみ3万円支給 → 2万円に

D学童保育所保育料3000円(月額)の値上げを保留とする。市民説明会での意見を踏まえ別途協議する

E老人クラブ補助金の見直し
→県の補助対象事業であるため、見直しは行わない

市は「先般の市民説明会での意見を踏まえ、一部追加・訂正し、さらに議員からの意見を聞いた上決定したい」と説明しました。

日本共産党議員団は、市民の命や健康保持に直接関わる以下の項目について、見直しを求めました。

・高齢者の医療費負担増(2割→3割)の見直し 
・インフルエンザ予防接種の負担増(無料→2000円)の見直し 
・プレ特定健診の負担増(1500円→2500円)の見直し
・70歳以上の各種検診の有料化の見直し
・心身障害者(児)(身障4級)の福祉医療費負担増の見直し
・高齢障害者(身障4級)の福祉医療費負担増の見直し
・重度心身障害者(児)の通院にかかる自動車燃料費・福祉タクシー助成制度廃止の見直し


市は他市並みに見直したと説明するが、これらの項目の中には、他市よりすでに低い水準になっているものもあると指摘しました。

これに対し、市は「県内他市より高い水準のものは難しいが、再度検討し、その結果を12月6日の議会開会日に成案化した『新・集中改革プラン』として説明する」と答えました。

市民説明会では「保育料や水道料金の値上げなど、子育て世代への負担が重い」として、見直しや子育て支援の充実を求める声も上っています。12月議会が12月6日から始まりますが、日本共産党は市民の声を議会に届け、福祉・暮らしの充実にがんばります。










栗東民報 2011年12月4日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 国松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ