栗東民報

栗東民報 2011年11月20日号

TPPの危険 早くも明らかに

コメ・医療保険も自由化
  野田首相否定せず   参院予算委員会


環太平洋連携協定(TPP)参加に対し、国民に強い反対意見があるにもかかわらず、野田首相は14日の日米首脳会談でTPPへの交渉参加に向け、関係国との協議入りを表明しました。

翌日の国会参議院予算委員会で、首相はアメリカが求めているコメや公的医療保険の自由化について「何でも100%と言うのは想像できない」と述べ、可能性を否定しませんでした。

TPP交渉参加で、アメリカからの要求実現を迫られる危険性がいっそう浮き彫りになりました。


TPPはアメリカに都合のよい貿易ルールづくり


TPPは、農業や食品の安全基準だけでなく、医療や保険、教育、金融や投資、建設など様々なものを、アメリカにとって都合のよい貿易ルールに作り変えようとするものです。

日本の経済や農業はこれからどうなっていくのか、国民は不安を抱えています。
 野田首相は15日の参院予算委員会で「コメは関税撤廃の例外項目にするのか」との質問に、「何を守るかという手のうちを出すことはない」と明言を避けました。

国民皆保険制度についても「根本から変える場合は拒否する」と述べる一方で、「(自由化の対象になることが)場合によってはあるかもしれない。100%かどうかは分からない」、また「混合診療がどうのとか、わかりませんよ」などと無責任な答弁を繰り返しました。

さらに首相は「国益を損ねてまで交渉参加するということはない」と述べながら、「協議がととのうよう全力をあげる」とTPP協定参加への強い執念をみせました。


[医療] 「国民皆保険制度」崩壊へ


日本医師会は、
@混合診療が全面解禁され、公的医療保険の給付範囲が縮小する。
A株式会社の医療機関への参入により、患者の不利益が拡大される。
B医師・看護師・患者の国際的な移動により、医師不足や医師偏在がさらに深刻化し、地域医療の崩壊になりかねない。
など、TPP参加による医療分野への懸念を表明されています。


混合診療が増えれば増えるほど、患者の自己負担が増え、民間医療保険のビジネスチャンスが広がります。テレビのCM等で頻繁に目にするアメリカ系の医療保険に、すでに3000万人の日本人が加入していると言われています。

医療・保険への株式会社の参入や公的医療保険によらない医療分野の拡大は、医薬品や医療機器の高騰を招き、利益追求で医療の質低下や不採算部門が切り捨てられることが懸念されます。所得よって受ける医療に格差が生まれることになり、そうなれば医療を受ける権利すら守れなくなります。

TPPは、日本人が築いてきた医療や暮らしまで壊しかねない危険な要素を持っているのです。






新・集中改革プラン(素案)
  高齢者や障害者への負担増も

開発優先から暮らし守ること最優先に
税金の使い方を改める視点が欠如

11月4日から9つの各小学校区のコミセンで、市による「新・集中改革プラン素案」の説明会が開催されています。15日時点で6会場が終了し、合計で153名が参加されました。

野村市長は財政再建のために、
@福祉や暮らしに関わる事業をさらに削減する。
A職員員数や人件費の削減など内部努力に取り組む。
Bプール建設基金などを取り崩す。
C第3セクター債(3セク債)を活用し、土地開発公社の借金を市が肩代わりする。
などを、H24〜26年度に実施したいとして、12月議会での成案化を目指すと説明しました。

参加された方から、説明が難しくて理解できないとの声が寄せられています。

市がこれまで新幹線新駅などの開発を進めるために、公社に購入させてきた土地は全部で11.6haあり、市は借金して、これらを公社から買い取ります。この借金を『3セク債』と呼んでいます。

公社の土地の購入価格(簿価)172億円に対し、いまや地価は48億円程度に下がっており、この差額を市民が負担することになります。要するに、これまでの市の無謀な開発によるとツケと後始末のために市民の福祉施策まで削るというのが、「新・集中改革プラン素案」の中身です。

15日に行われた治田コミセンの説明会では、保育料の値上げなど子育て世代への負担増や、高齢者・障害者の医療費など社会的弱者への負担が増えることを懸念する意見が出ていました。これに対し、市は「他市並みにする」との答弁を繰り返すだけでした。

財政再建のためには、基金の取り崩しや人件費削減、市民への負担増などの小手先の改革ではなく、これまでの開発優先型の税金の使い方を、根本から見直し、市民の暮らし守ること最優先の市政を取り戻すことが求められます。しかし、残念ながら「新・集中改革プラン素案」には、この視点が欠如していると指摘せざるを得ません。



新・集中改革プラン素案の説明会
14日、金勝コミセンにて










栗東民報 2011年11月20日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 国松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ