栗東民報

栗東民報 2011年6月12日号

福島原発事故のような惨事を2度と繰り返さないために

福井原発の総点検と
  地域防災計画の見直しを

東日本大震災発生から3ヶ月が経ちます。福島原発事故による放射能漏れにより、10万人もの人々が避難生活を余儀なくされていますが、未だに収束の目途すら立っていません。

全国には54基の原子力発電所があり、そのうちの15基が福井県若狭湾周辺に設置されています。その中には40年以上経過した原子炉もあり、早急に総点検・安全対策を行なうことが求められます。敦賀原発から滋賀県までの距離はわずか13qで、栗東市は80q圏域に入ることから(下図)、市の地域防災計画に原発事故を想定した内容を盛り込むことが必要です。

また、全国的に地震や風水害が増加していることから、備蓄・避難所の点検、避難体制の強化など「災害に強いまちづくり」への取り組みが重要視されています。



  










「原発からの撤退」が必要か

いまの原子力技術は『未完成』で危険

放射性物質を原子炉内部に完全に閉じ込めておく技術を、いまだに開発できていません。だから、今回の福島原発事故のように、冷却水がなくなると炉心が溶けてコントロール不能となり、放射性物質が外部に放出されても、抑えられなくなります。

他の原発でも同様に、ひとたび大量の放射性物質が外部に放出されれば抑える手段はなく、被害はどこまでも広がり、長期にわたって危険を及ぼす可能性があります。



使用済み核燃料は溜まる一方・・・

使用済みの核燃料は、大量の放射能を絶えず出し続ける大変危険な存在です。これを始末するシステムを人間はいまだに開発できずにいます。54基の原発施設内の保管プールには溜まっていく一方であることから、『トイレなきマンション』と言われています。

福島の実例ではっきりしたように、使用済みの核燃料のプールも核事故の発火点となります。なお、この保存プールはあと数年もすれば満杯になりますが、この後の対応も考えられていません。


地震・津波国なのに集中立地

日本は世界有数の地震・津波国です。そこに54基もの原発が、想定震源地や活断層の真上に集中立地しており、世界的にも異常だと言われています。

政府・中部電力は、東海地震の予想震源域真上の浜岡原発だけは一時停止しましたが、それ以外は安全と言えるのでしょうか。

隣の福井県にある美浜原発・敦賀原発・高速増殖炉「もんじゅ」は、活断層から1km以内にあります。他の原発も震源域や活断層の近くにあります。この状況を放置したままでは、危険はなくなりません。


想定外ではなく『人災』
   安全神話で深刻な事態に

これまで政府は「日本の原発では重大な事故は起こらない」という考え(これを「安全神話」と呼んでいる)にしがみつき、何の安全対策もとってきませんでした。

福島原発についても、日本共産党や市民団体、専門家が「津波が来れば、冷却機能が失われ、重大事故になる危険性がある」と繰り返し警告してきたにもかかわらず、無視し続けました。その結果、今回のような大惨事を引き起こしています。まさに、想定外ではなく『人災』です。



再生エネルギーへの切り替えを

水力・太陽光・風力・地熱など

電力に占める原発の比率は約3割です。現在稼働している原発は17基ですが、停電は起きていません。節電や原発以外の発電で対応できているからです。いまでも火力・水力の稼働率は4割程度で、大企業の自家発電能力(約6000万kw)や揚水発電(2300万kw)などもあり、夏のピーク時も十分まかなえる計算です。

 専門家も「日本は急流の河川が多く、森林資源も豊富で、ダムなしの水力発電所を作る余地がある。太陽光も強く、海洋風力を含む莫大な風力資源がある。地熱は世界第3位の資源国であり、政策によっては原発廃止し、再生エネルギー中心へと切り替えることも十分可能」とみています(日本環境学会会長の和田武さん)。












栗東民報 2011年6月12日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ
 農業委員 三浦平次