栗東民報

栗東民報 2008年5月11日号




栗東市は、0歳〜5歳の子どもたち4629名のうち3043名の保育を、市内公立保育園10園、民間園(法人立)園5園、公立幼稚園9園の合計24ヶ園で行っています。

公立保育園10ヶ園のうち5ヶ園を、H22年4月を目途に大橋保育園の廃園と大宝保育園の民営化。H26年度を目途に治田保育園と治田西保育園を民営化。時期未定で金勝第2保育園を施設所有者(JRA)と協議し民営化の方向で、公立保育園の廃園を計画しています。

保育園の民営化って何?

運営を市の責任から民間(社会福祉法人)に変えることで、全く違う保育園になります。保育士も全員入れ替わります。

民営化は、国の「官から民へ」という構造改革、規制緩和で保育分野に、競争を持ち込もうとする流れの中でおこっています。

とりわけ栗東市では、公立保育園の国庫負担金の地方交付税化にともなう財政問題や臨時保育士の確保が困難になるなど民営化を急いでいます。

民営化で保育は本当に良くなるの?

「公立でできないから民間で」財政的なメリットで民間に任せれば、そのしわ寄せは子どもに及ぶことは明らかです。

民間園も様々な努力をしています。しかし、保育園の運営費の内80〜90%を人件費が占めており、全国平均で、公立園の保育士の平均年齢は38.4歳で勤続年数は16.5年。民間園は27.7歳で勤続年数5年未満の保育士が61%を占めています。

また、保育士の配置基準も1・2歳児が公立では5対1ですが民間園では6対1になっています。人材派遣で保育士を確保している園もあります。

民営化で子どもが不安定な状態になり、夜鳴きや登園をいやがり親が仕事にいけない・・等々問題が出ています。

民営化問題で裁判も起こっています

大阪高等裁判所は、大東市に「公立保育所の民営化で子どもたちに損害を与えた」として損害賠償を命じる判決を出しました。

横浜地裁は、横浜市に「特別民営化を急ぐ理由があったとは認められず、裁量の範囲を逸脱、乱用した」もので違法の判決を下しました。

住民への説明責任も果たさず、住民合意なしの進め方は大問題であり混乱の元です。パブリックコメントでお茶を濁すこと許されません。これでは子どもたちがかわいそうです。


栗東市は小学校区ごとに保育園・幼稚園・児童館・学童保育所・コミセンを設置し、「住みよさ日本一」を誇りにしてきました。中でも保育園は、親の就労と子どもの発達を保障する場であるとともに、地域の「子育て支援」の役割をになう地域になくてはならない施設です。公立保育園が果たしてきた役割は大きく市民の財産です。

H18年2月栗東市保育園運営検討懇話会が、保育園の民営化が望ましいとしながらも、「住民には地域の保育園を望まれることが根強いことから、今後民営化する園にあっては住民への十分な説明が必要である。」とする「保育園運営に関する提言」を提出。今年1月「栗東市立保育園運営計画策定委員会」を設置し3月末にも保育園民営化の答申を求める計画でしたが、策定委員会でもあまりの性急な進め方が問題になりました。

また、日本共産党議員団は、12月議会で住民合意なしの民営化は認められない。として答申の延期を要求しました。このような経過の中で、栗東市は、5月1日から一ヶ月間、ホームページや保育園・コミセンなどに配布している「民間活力活用の基本方針」(案)及び「基本計画」(案)等を閲覧して市民のパブリックコメント(意見)を求めています。

このコメントを集約して「市立保育園等運営計画策定委員会」の答申に基づき民営化を進めるとしています。しかし、基本方針や基本計画を読んでも、民営化後の保育はまったく見えてきません。民間園(法人立)には、多様な保育需要に対する柔軟性や即応性があり、保育サービスの拡充が期待できるとして、公立園の半分を廃園・民営化する計画ですが、市の一方的な保育責任の放棄で不安がいっぱいです。

安心して子どもを生み育て、住みつづけられる栗東市をめざして、日本共産党は市民の皆さんといっしょに考えて提案していきたいと思います。

ご意見・ご要望をぜひお寄せください。





栗東民報 2008年5月11日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市会議員 ばば美代子
 市会議員 国松清太郎
 市会議員 太田ひろみ
 農業委員 三浦平次