栗東民報

栗東民報 2005年4月23日号

利用者需要予測に根拠なし
 やっぱり
  自治体負担を求めるためだった  


新幹線「栗東新駅」
実際はのぞみの「待避駅」

在来線との接続「5分」は不可能
駅周辺開発計画も未定


「新幹線栗東新駅」を最も必要としているのは、JR東海だった。

三月県議会でも「利用者予測」の根拠をただしたところ県は応えられず、「(周辺自治体の)負担を得るためのもの」と応える始末。

県と周辺自治体では六月議会にも駅舎建設費負担のための「債務負担行為(借金)」の議案を提出しようとしています。

しかし、県民・市民にとって、必要度合いの少ない駅であることは、「利用者予測」のあいまいさから明らかです。


2003年時点の予測 一日5136人

単位 人
  ビジネス 観光・私用 通勤・通学 合計
大津市 96 98 46 240
草津市 264 140 302 706
栗東市 332 130 346 808
守山市 220 138 188 546
野洲市 中主 32 16 28 76
野洲 92 38 112 242
湖南市 石部 62 26 40 128
甲西 200 90 196 486
甲賀市 水口 194 82 166 442
土山 10 8 34 52
甲賀 54 24 72 150
甲南 70 38 56 164
信楽 78 60 28 166
その他 450 286 194 930
合計 2154 1174 1808 5136

開業時の予測 一日7480人

単位 人
  ビジネス 観光・私用 通勤・通学 合計
大津市 112 1446 48 1606
草津市 350 224 364 938
栗東市 416 160 394 970
守山市 260 352 202 814
野洲市 中主 38 36 30 104
野洲 108 44 120 272
湖南市 石部 74 30 42 146
甲西 234 96 210 540
甲賀市 水口 224 90 174 488
土山 10 22 34 66
甲賀 58 26 68 152
甲南 80 44 58 182
信楽 84 84 28 196
その他 510 298 198 1006
合計 2558 2952 1970 7480

開業10年後の予測 一日8938人

単位 人
  ビジネス 観光・私用 通勤・通学 合計  
大津市 120 2064 52 2236 △630
草津市 442 292 458 1192 △254
栗東市 502 196 478 1176 △206
守山市 310 458 248 1008 △194
野洲市 中主 44 46 34 124 △20
野洲 122 54 136 312 △40
湖南市 石部 86 34 50 170 △24
甲西 258 106 232 596 △56
甲賀市 水口 228 94 178 500 △12
土山 10 30 32 72 △6
甲賀 54 26 66 146 ▼6
甲南 82 44 60 186 △4
信楽 82 94 26 202 △20
その他 514 302 202 1018 △12
合計 2854 3840 2244 8938 △1458


根拠のない数字合わせ
県民の批判が強く、合意もないのに
六月議会で「債務負担行為」議決の動き

県が示した「利用者需要予測」は、実にあいまいです。

「新幹線新駅整備の波及効果と地域整備戦略の深度化調査」によると、2003年度の利用状況・京都駅利用「8128」人(一日の往復)、米原駅利用「6134」人。

これをベースに、京都駅利用の33%、米原駅利用の10%が、「栗東新駅」を利用するというのです。

それに「新規の利用」を含めたのが、上記の左表ですが、一日の利用が5136人。この数字そのものに根拠がないことは明らかです。

これが七年後の開業時・2010年には、一日7480人。大津市の場合、現状では一日240人なのに、「開業後に一気に観光入込客」が見込まれるために一日1606人、約七倍もの利用を見込みました。

これは、大津市にも、総額240億円の駅舎建設費の「応分の負担」を求めるための試算だったのですが、大津市はそれを察してか、早々と「促進協議会」からの脱会を表明。結局、これがきっかけになって、周辺自治体から三分の一・約80億円の負担を求めることができなくなったのです。

「負担割合」の根拠とすべき「利用予測」だったはずですが、そこに根拠がなく数字合わせの「利用予測」だけに、「負担協議」で合意が得られないのは当然です。

ところが県は、強引に関係市長との費用負担協議を済ませ、六月議会で、債務負担行為を含む予算計上を求める動きです。「新幹線栗東新駅」が本当に必要かどうか、いまあらためてその是非が問われています。


広がっています!
負担中止を求める署名 寄せられた市民の声

新幹線新駅建設より在来線の利便性を計る方が市民にとってメリットが多いです。

地元の人間ですが、どう考えても利用人数の少ない「のぞみ」の待避駅にしかなり得ない栗東新駅に、100億円もの大金を投資するのは住民無視です。税金の値上がりも心配ですし、将来先祖代々の土地に住めなくなるかもしれません。中止できるなら是非中止すべきです。

栗東民報 2005年4月23日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市会議員 ばば美代子
 市会議員 国松清太郎
 市会議員 太田ひろ美
 農業委員 三浦平次